宣戦布告
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いる。
それを聞いたルーが姿も見た事のないサワルー公爵に怒りを感じたのは余談だ。
「ジュレネール家の婚姻により、ハートフィリア鉄道は南方進出の地盤を築ける。これは我々の未来にとって意味のある結婚となるのだ」
(何だよ、我々って・・・自分の商売が広がってほしいだけじゃないか。物は言いようだよ、全く)
ジュードの言葉にルーは不機嫌そうな表情になる。
「そしてお前には男子を生んでもらわねばならん。ハートフィリアの跡継ぎをな」
ルーシィは何も言わない。
ルーも何も言わない。
それを同意と受け取ったジュードは表情を変えずに口を開く。
「話は以上だ。部屋に戻りなさい」
「・・・お父様」
ルーシィはゆっくりと口を開く。
そして、言い放った。
「勘違いしないでください」
「!」
まさかの言葉にジュードは目を見開く。
「私が戻ってきたのは自分の決意をお伝えする為です。彼に来て貰ったのはその決意を聞いてもらう為・・・確かに何も告げず家を出たのは間違ってました。それは逃げ出したのと変わらないのですから。だから今回はきちんと自分の気持ちを伝えて、家を出ます」
「ルーシィ・・・?」
ジュードの声が震える。
「あたしはあたしの道を進む!結婚なんて勝手に決めないで!そして妖精の尻尾には2度と手を出さないで!」
ルーシィはそう叫ぶと、着ていたドレスを勢いよく掴み・・・。
「今度妖精の尻尾に手を出したら、あたしが・・・ギルド全員があなたを敵とみなすから!」
ビリビリと、引き裂いた。
腰辺りまで引き裂き、ドレスの布が宙を舞い、落ちる。
「あんな事をしなければもう少しきちんと話し合えたかもしれない。でももう遅い。あなたはあたしの仲間を傷つけすぎた」
ルーシィは強い決意と意志のこもった目で、ジュードを睨みつけた。
「あたしに必要なものはお金でも綺麗な洋服でもない。あたしという人格を認めてくれる場所」
その右手の甲には、桃色の妖精の紋章。
「妖精の尻尾はもう1つの家族。ここよりずっとあたたかい家族なの」
ルーシィの言葉を聞くジュードは小刻みに震えている。
「わずかの間だけどママと過ごしたこの家を離れる事はとても辛いし、スペットさんやベロ爺やリボンさん・・・エイドさん・・・皆と別れるのもとても辛いけど・・・」
それを扉に張り付いて聞いていた使用人たちは涙を流す。
「でも・・・もしもママがまだ生きていたら・・・あなたの好きな事をやりなさいって言ってくれると思うの」
そう言うルーシィの背後に、彼女の母『レイラ・ハートフィリア』が見えた気がした
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