九話 「小さな一歩」
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木々の間から溢れる日光が暖かく辺りを照らす。
そんな森の中。いつもより奥に入って俺は図鑑を片手に立っていた。
もう一度図鑑と目の前の木を見比べる。
「夾竹桃か。あれだな、探せばあるんだな有難い」
いやまあ、あっても困るが。
そんなことを思いつつ木に登り葉の付いた枝を落としていく。
バキッ、という音と共に落ちたそれを手袋越しに拾い袋の一つに入れる。
いくつか拾い十分だと思い、別の場所へ向かう。
木々が減り、草が多く生えているところで立ち止まりしゃがむ。
左右対称で幾つにも分かれている葉。細く伸びる茎のような所についた小さな実のようなもの。
どこにでもありそうな植物。熊葛というそれを毟ってさっきのとは別の袋に適当に詰めていく。
「これくらいでいいか」
そこそこの量毟ったところで止める。まあ、別に珍しいものでもないし。
俺は立ち上がり軽く背中を伸ばしコリを解す様に肩を動かす。若い体だから別に大丈夫だか、何となくの気分だ。
既にそこそこの量は採集した。今回はこれで終わりでもいいだろう。
そう思いながら決めておいた場所に戻ろうかと体の向きを変える。
「イツキさーん!」
視界の向こうから白が向かってくる。
いつもより若干だがテンションが高い。大自然の中での採集が楽しかったのだろう。ワンコのような笑顔である。
何とも微笑ましい絵だ。
だが白の手にあるものに若干顔がひきつる。
「おい、それ何だか調べたか白」
「いえ、さっき見つけたところです。ですからこれから調べます」
真っ赤な棒の様な体。ほんの五六センチ程度のそれを握った白が言う。
図鑑を出そうとする白を俺は静止する。
「ああ、調べなくてもいいぞ。ちょっとそれ貸せ」
「? イツキさん何だか分かるんですか?」
「ああ。だから取り敢えず貸してみろ」
そう言い白からそれを受け取る。
俺はそれを俺の右手に握り、
「ウラッシャー!!」
全力で遠投した。
「カエンダケとかねーよ。マジ何でこんなところに生えてんだアレ」
いつもの場所に戻りながら俺は呟く。
「あれそんなにまずかったんですか?」
「ああ。アレは汁が触れただけでも影響が出るキノコなんだ。普通のは食ったりしない限り大丈夫なんだけどな」
そこそこ有名な物だから知っていた。昔新聞でも見た記憶がある。
「もう少し扱いに慣れてからならいいが、流石にまだ早い」
「分かりました」
適当に話している内にいつもの場所に着く。
荷物を下ろし、履くと俺が集めたものをそれぞれの袋ごとに別ける。
「準備できました」
「ありがとう」
白が用意した低濃度の食
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