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弱者の足掻き
九話 「小さな一歩」
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のは知識だけだったんですか、問題ありませんか?」
「ああ。上手く嵌ったと思うぞ」

 ひねられた親指は恐らく脱臼だろうと予想がついた。その為白に指を嵌めさせたのだ。
 脱臼の治療は早めに元の位置に戻すのが大事。素人が下手にやるとマズイが、鍼灸やらなんやらさせた白には簡単な治療方等の知識はある。実践大事ということでさせた。
 変な方向いていた指も元に戻っている。一応湿布などもしてある。念のため帰ったら医者に見せるが大丈夫だろう。

 既に時間もたっているので白が容器の水を切っていく。
 持ってきた蓙をしく。

「並べますね」
「ああ。簡単にタオルで水気とって物ごとに別けろ。それとデカイやつはちぎって並べろ」

 いいながら俺も大きいものは適当に千切り並べていく。キノコとか適当に裂いていく。
 うむ、動かさないようにしているが左親指地味に痛いな。ジクジクする。
 そんな事を思いながら一通り並べきる。
 後は放置だ。

「乾くまで結構かかるな」
「置いていくんですか?」
「いや、持って帰る。そう簡単に乾くものでもないし。放置するのも危ないからな」

 まあ、自室の窓から吊るしたり屋根の上に並べれば大丈夫だろう。乾燥の仕方も確か色々有ったはず。
 とりあえずこれで終了だ。

「それじゃ後はいつも通り。体動かしたり水回したり、好きにしててくれ。組手は手の様子見てからだ」
「分かりました」

 そう言って白は持ってきたカバンから水風船を取り出す。
 それを見て、そういえば、と俺は白に言う。

「その風船の中の水、捨てるな」
「水、ですか?」
「ゴムが劣化したりしても捨てるな。使えさそうなら水筒でもなんでもいいから使った水は取っておけ」

 ふと思い浮かんだ事を試すのに必要なのだ。実際、俺もここ暫く修行で水を捨てていない。

「分かりました」

 了解して白が風船握って座る。
 白は少し前、二段階目を初めてクリアした。感情が揺れたからなのかは分からない。だがそれ以来調子のいい日だけだが二段階目はクリアできるようになった。
 そのため三段階目のことを伝えた。だが常時二段階目がクリアできていない以上三段階目をやるかどうかは自分で判断しろと言ってある。
まあ今は単純にコントロールを上げるために水風船を使うのかもしれないけれど。

 それを横目で見ながら俺はゴム球を……無視し水風船を手に取る。
 今は属性変化の方を頑張りたいのだ。
 水風船を手に取りチャクラを込める。意思を込め水の形を少しずつ平べったくしていく。
 
(そう言えば土とかでもできたな……)

 水の属性変化が形態の自由さというのなら水以外でもできるのではないか。そう思って土にも手を出してチャクラをこれでもかと込めてみ
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