暁 〜小説投稿サイト〜
弱者の足掻き
九話 「小さな一歩」
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 作った毒はまだまだたくさんある。色々試さねば。

「いると思いますよ。うり坊の話を前に聞いたことがあります」

 白が拳に足にと連撃を放ちながら答える。
 組手中なのに中々にほのぼのとしているな。まあ狙いは互いに急所狙いが多いから真面目だが。
 それにしてもうり坊か。なら猪いるな。後で調べるか。猪肉も食ってみたいものだ。
 うさぎの肉を齧りながらそう思う。

 ちなみにこの肉さっきのうさぎではない。前にとったうさぎである。苦無の的扱い等で何回か捕まえているのだ。繰り返したおかげで肉の処理も結構慣れたものになった。
 さっき取ったやつは血抜きはして今は塩水に付けてある。熱処理すれば今回使った毒は基本消えるのでそれまではお預けである。

 そんな事を思いつつ白のケリを交差した手で受け大きく下がる。そして地面の土と石を右手で握る。
 手の内で握って土を細かく砕きながら白に向け突撃。握った手を突き出す。その手から土と石が勢いよく前に向け飛ばされる。
 螺旋丸のチャクラの劣化汎用だ。チャクラの渦を作って撒き散らしたのである。微弱ながら水の性質変化の恩恵もあり指向性を持って白へと撒き散らされる。

(こっちも、ついでだっ!)

 左手でもチャクラの渦を作る。そしてそれを土砂を避けるように姿勢を低くして潜り込んできた白に向け抉り込むように放つ。
 収束できてないから大した力はないが、それでも渦を当てれば白の姿勢を崩させるくらいは出来る。それも避けようものなら足元のチャクラを爆発させ全力で蹴り飛ばしてやる。近づいてきたのは失策だぞ白よ。ふはは、たまには勝つぞ俺も。
 そう思っていると白は、くるり、と体を回した。
 そして「タンッ」と地を蹴った白の足が俺の左手首を踏み抜き、前に出ていた俺の膝にまで押し付ける。
 そしてそのまま白は俺の膝を足場にして宙に浮く。

(……あ、やべ)

 思ってももう遅い。
 避けるまもなく迫った白の蹴りに俺は頭を蹴り飛ばされる。
 あまりの衝撃に目の前が一瞬ブラックアウトする。
 俺はゴロゴロと地面を転がり、何回転かして止まる。
 地面に仰向けになり、揺れる世界を見ながら俺は息をつく。

(たまには勝っても良いと思うんだけどな俺)

 ああ、空が青いなちくしょう。そう心の中で呟いた。







 数秒後、前に言った通り全力で腕の骨を折らんと覆い被さりに来た白を何とか投げ飛ばし、再度強くそう思った。

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