第8話 男の恋は命懸け! 惚れたなら掘り抜いて見せようドリル道!
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さにその時であった。突如激しい振動が辺りに響き渡る。
大地が唸りを上げているかの様な地響きが番達の元へと伝わってきたのだ。
「な、何だぁこの揺れはぁ?」
「この揺れ……まさか、落盤事故かぁ!?」
流石は現場人間。即座に判断が行った。木村の予想は当たっていた。
工事現場の入り口から蜘蛛の子を散らしたかの様に逃げ出してくる作業員達。聞いてみるとやはり落盤事故があったらしい。
まだ現場慣れしていなかった静流が単独でドリル戦車を操縦していた際に地盤に激突してしまい、その拍子に周囲の柔らかい地層が崩れ落ちてしまい落盤事故が発生してしまったのだ。
幸い地上付近での作業が殆どだった為に作業員達は全員避難出来た。
だが―――
「え? 静流さんが生き埋めに?」
ドリル戦車を操縦していた静流が一人生き埋めになってしまったのだそうだ。しかも落盤事故の衝撃でドリル戦車は故障し、静流自身も怪我をしてしまい身動きが取れないと言うそうだ。
「すぐに救助隊を要請するんだ!」
現場監督が救助隊の要請を指示する。だが、恐らくそれでは間に合わないだろう。
落盤が起こったと言う事はドリル戦車内は殆ど密室同然の状態となる。そうなればまず心配されるのが酸欠だ。
地底では酸素がほぼない状態なのだ。このままでは後数分足らずで静流は危険な状態へと陥ってしまう。
一刻の猶予もなかった。
「監督、俺が天音の救助に行きます!」
「き、木村君!」
突然の木村の申し出に現場の一同が驚きの声を挙げだす。
「危険だ! 君まで生き埋めになってしまうぞ!」
「此処の地層の事なら殆ど頭に入ってます! それに、救助隊なんて待ってたら手遅れになってしまいます。ドリル戦車で一気に行った方が格段に早い筈です!」
木村の言い分の方が一理あった。今から要請したとしても此処まで来るのに相当時間が掛かる。その後で救出作業を試みた所でやはり総じて時間が掛かってしまうのは目に見えている。
ならば、もう一台あるドリル戦車で地層をぶち抜き、直接助けに行く方が利口と言う物だ。
それに、この現場の知識は木村の方が格段に詳しい。彼ならば適任と言えた。
「し、しかし……」
「ウダウダ言ってる場合じゃねぇだろうが!」
中々決定できない監督に今度は番が名乗り出た。今此処で問答している時間すら惜しい状況だ。一刻も早く助けに行かねばならないのだから。
現場の空気が騒然となる。そんな中で、監督が難しい顔をしながら木村を見た。
「木村君、任せても大丈夫かね?」
「はい! 必ず天音さんを助け出して見せます!」
「分かった、我々も出来る限りサポートをする。頼むぞ!」
ようやく許可が下りた。後はドリル番長と共に地底に埋められた天音を救い出すだけだ。
「ドリル、お前が頼りの綱だ!
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