第二章 [ 神 鳴 ]
二十三話 神々の戦 開戦
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翌朝、森に日の光が差し込んだ時ついに決戦の火蓋が切られた。
両軍が正面からぶつかり合いそして、諏訪の軍はあっという間に瓦解した。
大和の軍からすればまさに予想通り。逆に本当に正面からぶつかって来るなどとは思わなかったくらいだ。しかし陣形が崩れただけでまだ戦は終わっていない。
大和の軍を指揮する神奈子は無秩序に撤退していく諏訪の軍に即座に追撃戦を仕掛ける。いや追撃戦など言うものではない、これから行うのはただの殲滅戦だ、神奈子は心の内でそう思った。
血生臭い戦場の上にはただただ蒼い空が広がっている。
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「進めー!奴等に大和の力を思い知らせてやれ!」
男は力強い声を上げ部隊に指示を飛ばす。大和の軍は少人数の部隊を幾つも編成する事で戦場を素早く柔軟に支配する。そうすることで如何なる状況にも対応できるのだ。
八坂神奈子が誇る『千姿万態の陣』。
これまでの戦で圧倒的勝利を掴んできた必勝の戦陣であった。だが部隊長である男は思う。最早ただ逃げるだけの連中に作戦など不要だろうと。
つい先日までは大和の軍には諏訪の洩矢に対する恐れが広がっていた。土着神の頂点と謳われる祟り神、どれほど恐ろしい者なのか、と。
しかしその洩矢の使いが言った事が広まると恐れは霧散した。「洩矢恐るるに足らず」そんな風潮が広まるくらいだ。
現に連中は馬鹿の様に正面からぶつかり無様な姿を晒して逃げ惑っている。もはや我々の勝利だ。男は確信していた。
そして部隊に指示を飛ばそうと思った時、自分の目の前の空間に妙な亀裂が奔った。何だこれは?と思う間も無くその亀裂から放たれた白刃が男の首を斬り飛ばす。
まさに一瞬の出来事。男は自分に何が起こったのか理解できないまま戦場に散った。
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大和の本陣。そこで指揮を執る神奈子のもとに先ほどからおかしな報告が幾つも届いていた。副官を務める者が新しく届いた報告書を読み上げる。
「第十、および第二十三部隊の部隊長の死亡報告です。これで合わせて五人ですか、どういうことでしょうか?」
官は戸惑いを隠せず神奈子の方を見た。神奈子は卓に広げられたこの一帯の地図を見下ろし思案に耽る。
大和の軍は本陣の兵を除くと全三十部隊に分かれている。最初は苦し紛れの諏訪の軍の反撃で討たれたと思った。だが実際は部隊に被害は無く部隊長のみが死亡している。
部隊長の不審死もそうだが他にも不審な点が出てきていた。バラバラに撤退していた諏訪の連中があちこちで合流を果たしそこで防御陣を敷いているというのだ。
偶然
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