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東方虚空伝
第二章   [ 神 鳴 ]
二十三話 神々の戦 開戦
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どこか早希と似ていて戦場の空気に疲れていた私の心をすこし癒してくれた。
 私が虚空さんにこの河上の陣の責任者を任されたのは私が諏訪で一番格の高い水神だったから、らしい。私自身そんな自覚は一切なかった。
 ここで任されたのはこの場所に施された『活性陣』の制御と攻撃した後に襲ってくる敵部隊の引き付けだった。私は手を開き持っていた石を見つめる。活性陣を制御する為の十センチ程の要石だ。活性陣の霊力は攻撃でかなり失っていたが幾分か残っている為敵が襲ってきた時に防御用に使っている。
 ただし私は陣の中央に立っているだけで敵部隊の迎撃には参加していない。理由は虚空さんの指示。
 敵は恐らく攻撃を行ったのは強力な水神だと思う筈。だから敵が陣に強襲してきても私は手を出さず、さも攻撃を行ったのは私です。次の攻撃の為に力を溜めています。と思わせる様にする事を言われた。
 戦闘の素人の私達にはよく分からないがそうする事で多少なりとも敵を混乱させる事ができるらしい。
 でも皆が戦っている時に自分が何もしていないというのは何となく後ろめたかった。そんな風な事を考えていた為だろうかにとりさんが心配そうに見ていた。
 私はそんな彼女に「大丈夫ですよ」と言うみたいに笑顔を向ける。少し前までの私なら妖怪の彼女にこんな態度は取らなかっただろう。
 初めて虚空さんとあった時に紫ちゃんを娘として紹介されて私は「妖怪を娘って、この人は頭がイカレてるんじゃないか?」と思っていた。(まぁある意味イカレていたけど)
 でもそれから紫ちゃんと一緒に生活を送り、最近ではルーミアさんとも一緒に暮らす様になって妖怪への嫌悪感は薄れていった。
 妖怪全てが彼女達みたいに親しみを持てる者ばかりではない。そんなのは当たり前だ。でも逆に言えば彼女達みたいな妖怪もいるという事だ。
 私はふと気になった事をにとりさんに聞いてみる事にした。

「そういえば何故河童の皆さんは私達に協力してくれているのですか?」

 この戦は諏訪と大和の神同士の国取り合戦だ。正直に言えばそこに住む人妖にはあまり関係が無い。
 もっとも大和が妖怪殲滅を掲げていれば妖怪達には関係してくるが。

「うーんと、まぁルーミアの事もあるんだけど七枷様には結構色々助けてもらってるんだよね。だからまぁ恩返し?みたいなもんだよ」

 にとりさんははにかみながらそう言った。虚空さんは実際私達が知らないだけで結構色んな所に顔が利くらしい。本当に分からない人だ。…人かな?
 にとりさんと話をしていたら突然周りが騒がしくなった。また敵の襲撃か、と思ったらそこにいたのは一人だけ。

「いやー皆さん落ち着いて、ね?ほらわたくし戦うつもりなどこれっぽっちも持っていません。武器だって持っていないでしょ?」

 男は両手を挙げながらそ
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