第二章 [ 神 鳴 ]
二十三話 神々の戦 開戦
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集まったにしては防御陣が強固過ぎるという報告もある。戦場の不可解に頭を悩ませていた神奈子のもとに新たな報告が舞い込んできた。
「報告いたします!航空隊を務めていた第四、第八、第九部隊が河上からの水によるものと思われる攻撃を受け壊滅いたしました!」
「なっ!そんな馬鹿な!諏訪にそれほどの水神がいるなど報告されていないぞ!」
副官が声を荒げ叫ぶ。副官の言う通りそんな報告はなかった。戦場を分断している大河。その上流に諏訪の軍が居たのは知っていた。だが強力な水神は居ない、と報告が上がっていた為そこの占拠を後回しにしたのだ。そもそもすでに奴等の本隊が敗走していたので意識すらしていなかった。
騒がしくなった本陣に更に新しい報告が飛び込む。
「御報告いたします!第十四部隊長が戦死!それにより部隊長を失い混乱していた三部隊が諏訪の軍の奇襲を受け壊滅いたしました!」
本陣に衝撃が走った。どういう事だ?我々は敵の追撃戦をしていたはず?どうしてこうも被害が広がる?
そこにきてようやく神奈子は自身の失態に気付いた。間違いなく罠に嵌められた。だがどこから?敵が撤退した時?正面からぶつかった時?この場所に布陣した時から?
神奈子は思考を巡らせこの罠の始まりに目星を付けた。おそらくあの洩矢の使いが来た時からだ。あの使いの言葉を鵜呑みにしてしまった事がこの状況を作り出している。
だが不可解だ。祀られている神が相手を油断させる為とはいえ自分を貶める事を言うだろうか?いや間違いなく言わない。それに仕える者もそんな事を言ったりはすまい。
おそらく第三者がいる。諏訪に加担し洩矢を信奉していない者が。その時神奈子の脳裏に須佐之男が言った『神狩』という単語が蘇る。だが今はその事よりもこの状況を打開する方が先決。
再び地図に視線を落とした神奈子に声がかかった。
「状況が芳しくないようですね」
「おいおいどうしたんだよ神奈子」
奥の方から天照と須佐之男が出くる。
「申し訳ございません天照様、私の不手際です。なんなりと御処分を」
自身の不手際の自責の念に駆られた神奈子はそう進言する。
「まだ作戦中です。貴方が指揮せずどうします。その様な事は戦が終わった後で言いなさい」
天照の静かで凛とした声が騒がしかった本陣に落ち着きを取り戻させた。
「しっかしどうすんだよこれ。このままじゃ無駄に被害が大きくなるだけだぜ?一旦撤退して仕切り直すか?」
須佐之男が神奈子にそう提案する。こちらの被害は部隊長九名と前線部隊と航空部隊合わせて六部隊の壊滅。状況的に三分の一の戦力を失った事になる。須佐之男が言った通り撤退して仕切り直すのも一つの手だ。そう普通なら。
「いやこの戦で撤退はしない、いやできない。我
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