第三章
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「それでな」
「ええ。それじゃあまた」
これが別れの挨拶だった。女は俺に背を向けてその態勢で俺に手を振ってきた。
「また明日ね」
「おい、名前は」
「ナオミよ」
また俗な名前だった。何か風俗嬢の名前みたいに思えた。実際にそうした店に行く時もある。だからこれも特に何とも思わなかった。どうせ本当の名前でないと思ったからだ。
「覚えておいてね」
「明日店にいたらな」
「絶対にいるから」
やっぱり全然信用できねえ。それも心の奥底からだ。
「安心していいわ」
「覚えていたらな」
これは俺についての言葉だった。
「それじゃあな」
「またね」
最後まで嫌味たっぷりで別れて。そうして俺は歩き出して。不意に思った。
「このまま日曜までこうだな」
相手の魂胆はわかっている。それがやけに悔しい。そしてこうも思った。
「次の月曜を金曜の夜に変えたいものだぜ」
それでも逃げる気はなかった。徹底的にやってやるつもりだった。俺はそれだけははっきりと決めてその場を後にした。絶対に勝ってやると誓って。
BLUES OF IT 完
2007・11・12
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