黒い手紙
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眼を除いて。
「私たちはねぇ、厳しい選考を掻い潜って選ばれた列記とした”守護神”なんだからね!」
私”たち”?
「守護神だかなんだか知らないけどさぁ。”たち”ってことはお姉ちゃん達にもあんたみたいなのが付いてるってこと?」
「そりゃぁ付いてるんじゃないの?姿見せてないから誰が誰に付いてるんだか私は知らないけど。とりあえず、私はあんたの守護神の死神。」
「死神!?」
全員が声を揃えた。
「…なによ…そんなに死神が珍しい?」
「いや、ちょ、待った。あたしまだ若いんだけど!病気もないし、この通り元気なんですけど!なんで死神なんかに付かれないといけないのよ!お断り!帰れ!」
死神はキョトン顔だ。
「仕様がないと思われるけれど?だって人間の世界では死神は”死の象徴”だもの。”死ぬ間際の人間が見る最後の神の姿”なのだからその反応は至極当然ね。」
横を見ると、南の背後に箒に腰をかけた女性がいた。
まるで…魔女のように。
「ごめんなさいね自己紹介はしたいのだけれど、まだその時ではないの。」
魔女は続ける。
「なぜならばこういうことになっているのはこの家の住人だけじゃないから。もっとあなたの近しい人たちにも同じ手紙が届いてるはずよ。もっとも、彼らもしくは彼女らがこれと同じ状況をすぐ理解して快諾するというのならばあなたの元には集うことはないでしょうけれど…」
魔女の言葉を遮るようにしてインターホンが鳴った。
「どうやら快諾することはなかったようね。」
戸惑いと訝しげな表情の希美に魔女はニコリと微笑んだ。
「え…どうしたの揃いも揃って…。」
玄関の扉を開けると、吉原姉妹に加えて本原高子とその恋人の中澤優人の姿があった。
4人とも不安の色が顔ににじみ出ていた。
「希美、突然押しかけてごめんなさい。変なことを聞くけどこんな手紙来てないかしら?」
そう言って有菜が差し出したのは、まさしく水野家に届いた手紙と同じものだった。
「嘘…じゃあみんなの所にも?」
4人が頷く。
「開けたら変な奴が現れた?」
もう一度頷く。
「もう何がなんだかわかんなくてさー…そしたらその妙なやつが”希美の家に行けば全てわかる”っていうから…」
思考回路が今の状況に対応しきっていないことが痛いほどわかった。
ガチガチと音を立てて脳内の歯車が互いに逆向きに回ろうとしている。
落ち着かなければ。でもどうやって?
家に入れよう。とりあえず。でも入れたところでどうする?何を話す?
みんなこの状
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