黒い手紙
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姉ちゃん!?入るよ!?」
いない。
「優花!?いるの!?」
こちらも。
「登さん開けますよ!?」
案の定。
「3人共いない…なによこれどういうこと!?」
バタバタとリビングへと降りた。
「…ここにいたの…?びっくりした…みんな消えたかと思っ…」
希美の言葉はそこで途切れた。
リビングのソファに3人はいた。
南と登は清ましているが、優花は明らかに怯えているようだった。
だが希美が言葉を切ったのはそれだけが理由ではない。
”6人いる”
直感、第六感のような感覚でそう思った。
目視できるのは3人。でも他に”目視できない3人”がいる気がしてならないのだ。
「まぁ座りなさいな。」
南が厭に静かに言った。
「お前の言いたいことはわかってるって。でもまぁとりあえず二人共座れよ。」
登がそう続ける。
「…………。」
優花は押し黙ったままだ。
言葉をぐっとこらえ、二人は空いていたソファに腰を下ろした。
暫しの静寂があった。
その間も希美は確かに気配を感じていた。
いつもなら5人のこのリビングに、今この瞬間は10人いる。
わかっているのは自分の元に現れたあの黒ずくめと、涼介の後ろにいた金髪の青年(と呼んでいいのかはわからないが)だけだ。
しかし謎の手紙はここにいる5人全員に来ていた。
開けたのなら、この3人にも同じようにわけのわからない何かが付いているのだろうか。
疑問形にするのは正しくないか、と希美は思った。
自分の感覚は自慢じゃないが鋭いほうだと自負している。
優花が中学の体育の授業で跳び箱の踏切に失敗して怪我をしたときはほぼ同時刻に希美の愛用していた鏡が割れたし、南がバイト先に向かう途中で車に跳ねられる直前に激しい耳鳴りが10分以上続いた。
時々、”本当に”何か付いているんじゃないかと思うことが多々あった。
「…あんたの絶叫も聞いたし、優花が本棚の物ひっくり返した音も聞いたからわかってはいるつもりだけど」
切り出したのは南だった。
「やっぱり出たの?お姉ちゃん達のところにも…そのー…妙な連中。」
「妙なとは失礼な!!!!」
5人の視界を遮るようにしてあの黒ずくめがいきなり姿を見せた。
まさしく黒ずくめ。
よく童話なんかに出てくる悪い魔女のような全身真っ黒の服に身を包み、頭巾のようなフードのようなものを被り、足元は漫画に出てくる幽霊のようにないので、実質確認できるのは顔のみ…ということになる。
さっきは驚きのあまりよく見ている暇がなかったが、顔は至って普通の人間と同じだ。
鮮血のような赤い
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