第一物語・後半-日来独立編-
第五十六章 解放《1》
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的に戦争を行うのは当分先になるだろうが、小さな争いはこれから先幾度もなく起こるにちがいない。
何時しか無くなる学勢院と社交院をこれからも続ける意味は無く、それぞれ国が独自の考えの元動いている。
だが、ふとセーランは疑問に思った。
「けどそれと委伊達家が辰ノ大花を治めるのと、どう関係あるんだ?」
「委伊達家はもう私一人だけだ。その時点で委伊達家は辰ノ大花を治めるに値しない存在となった」
「ふーん、でもそれはお前の考えだろ」
「だといいがな。しかし、現に私を助けてはくれない者もいるのは事実だ」
「当たり前だろ。日来の独立だって誰もかもが賛成してくれたわけじゃない。一人一人考えはある。万人が全員一つのものを受け入れたら、それは奇跡以外の何物でもない」
結界の外は騒がしかった。
黄森と辰ノ大花の者達が、日来の進行を抑えている。が、辰ノ大花にも日来に味方する者もおり、日来側に勢いが付いているように思える。
それを見るセーランの片目。
「本当に、お前は馬鹿だ……」
左目が急に解放の速度を上げ、光を放ちながら両目による視界は片目だけによる視界となった。
気付いたセーランは左目を触ると、目玉が埋まっていた部分が丸々空洞になっていた。
指が、顔のなかへと入っている。
奏鳴は悲しむような、そんな視線を送った。
「本格的に身体が流魔へと還ろうとしている。やはり人族であるお前は解放場内ではそう保たないということか。止めておけばよかったものの」
「解り切ってたことさ。別に動揺なんてしてねえよ。それよりも、俺はお前を救いに来たんだ」
「何度も言わせるな。私はこのままでいいと」
「分かってねえよ。奏鳴、お前は何も分かってねえ」
「私の名を呼ぶな……虫酸が走る」
それを笑って返す。
「ははは、無理して言ってるだろ、それ」
「何を……!」
「分かり易い」
く、と下に見られている悔しさから奏鳴は奥歯を噛んだ。
眉を立て、セーランを睨むも彼には意味は無かった。
「そうやって今まで戦ってきたんだな」
「知ったような口を」
「知らないけど解るんだよ。だってお前は実之芽とそっくりだからさ」
「実之芽と……?」
これを聞いていた雷まとう実之芽の頬が赤く染まり、急に四方八方、きょろきょろと顔を動かし始めた。
周りに敵がいるも、彼女がまとう雷のせいである程度の距離を置いていた。のだが。急に実之芽は何故か雷を爆発させて、周囲の敵を吹き飛ばした。
雷鳴が静まり返る頃。
「強くあらねば、て感じで虚勢張ってる感じ。なんとも可愛らしいんだけどもね」
「馬鹿なことを言うな!」
「馬鹿なことじゃねえ。だって可愛いんだもんよ」
「卑猥な言葉をべらべらと」
「品なら無くはないだろう。ならお前はブサイクか?」
「そんなも
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