第一物語・後半-日来独立編-
第五十六章 解放《1》
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た流魔線を縮め、残りの距離を一気に縮めようと試みた。
もう時間は無い。
思った瞬間だ。解放場から放たれていた光は止んだ。
変わりに無音で、激しい光が、辰ノ大花の町中を照した。光が飛び散り、誰もがあまりの明るさに目をつぶる。
太陽の光の如く眩しい光は、目を眩ますには絶好の明るさだった。そのため誰もが目をつぶったために、一体解放場はどうなったのか分からない。まず、ゆっくりと光は明るさを落とし、消えるまで激しい光を放っていた。
周囲が無音となり、何もかもが止まったような錯覚を起こす。
しかし、日来の長は解放場へ辿り着いたのか、という疑問によって錯覚はすぐに解けた。
光の中心である解放場は一番遅く光が消え、その間誰もが固唾を飲んで待っていた。
解放場からは空を抜き、天に届きそうな一本の光の柱。
光は下から上へと流れ、淡い青色が空の色と重なって見える。
「あ……」
口から漏れた一文字。
解放場を見詰める、実之芽の目に映ったものは。
●
光が消えるなか、円形の形をした解放場の内側にいる者は人類が一度も破ったことのない強固な結界で、外界である創生世界から区切られた。
もうこの柱状の結界によって、解放から逃れる術は無い。
この柱の内側にいるということは解放され、この世から解き放たれるのだ。
即ち、事実上の死を意味していた。
そんな解放場の内側には、
「ああ、あ……ああ」
結界を背に、あ、を連呼する委伊達・奏鳴。
と、
「ギリギリセーフって感じだな」
上半身と下半身が逆になり、天地がひっくり返った幣・セーラン。
下半身が上になってはいるが、同じく奏鳴と同じ結界に背を向けていた。
光が放たれる前に流魔線を縮ませ、腕が千切れると思ったくらいに加速させた。直後、光によって目をつぶってしまい、解放場へ辿り着くも着地に失敗し、勢いそのまま身体が回転してしまった。
上半身と下半身が逆になっているのもそのためで、丁度現れた結界に激突し、止まったのだ。
回転によって目が回り、平衡感覚が定まらないがなんとか立ち上がる。
ふらふらと揺れながらも、上手く立ち上がれた。
「なんとかなるもんだな。いやあ、結構結構」
「何故、ここへ来た」
二度目のその言葉。
結界が張られた解放場を見渡しながら、笑みのまま奏鳴の方を向いた。
「んなもん言っただろ? お前に会いたかったからだよ」
「ただそんなことのためだけにか? 馬鹿馬鹿しい。お前は解放場という場所がどういう場所か知っているのか」
「殺せない神人族を裁くために造られた処刑台だろ。今は兵器で倒せない魔物を始末するためにも使われてるけどな」
「知っているなら何故来たんだ」
「何度も言わせるなって。お前に会いたかったから――」
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