暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルなのは〜優しき狂王〜
第五十二話〜開戦と黒幕〜
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とする。

(とうとう、俺らが切り捨てられる番が来たか。しかもどこに敵をおびき寄せるかの詳細なデータまで寄越してきやがって)

 数分前に受領した命令には、敵のガジェットとナイトメアフレームを指定した建築物の中に追い込むように指示がされていた。しかも、それは中に入れる時刻やどのルートを使うかまで細かく指定されていた。
 隊長である彼も決して無能な人間ではない。その為、その命令書が自分達の部隊を捨て駒にしようとする指示であると察していた。

(だが、ただ捨てられるだけの人間だと思うなよ。生き残ることに関しちゃ、お高い椅子に座っている上の連中よりも優秀ってことを見せてやる)

 その隊長の目には生き残ろうとする強い意志がありありと浮かんでいた。
 そして、その部隊は指定された建物である工場に入り込む。そこは何年か前に閉鎖されたのか、壁に人が通れる程度の亀裂が幾つも入っていた。そして天井は剥がれ落ちたのか、無骨な鉄骨が幾つも見え隠れしていた。
 部隊員が全員入りこんで数十秒後、彼らを追うように敵部隊が入ってくる。陸地ではその機動力を最大限活かせていたのか、ナイトメアフレームがガジェットよりも先に入ってくる。

「隊長!」

「慌てるな!」

 部下にそう叫び声を返すが、打つ手なしの状況に隊長は歯噛みする。
 そして、敵が攻撃態勢を取ろうとした瞬間、閉鎖されていた筈の工場が急に稼働し出入口を塞ぎ始める。それと同時に外から何かが着弾の音が聞こえてきたため、隊長は周りの部下たちに大声で叫んだ。

「周りの亀裂から脱出しろ!!潰れるぞ!!」

 命令を受けた部下たちは、隊長のその言葉が言い終わる前に既に外に出ようとしていた。
 そして亀裂から最後に隊長が脱出した瞬間、工場は中にいた敵もろとも潰れることになった。
 部下たちは自分たちが生き残ったことに喜びを感じ、笑みを浮かべていたが、隊長は1人浮かない顔であった。

(消しに来たにしては杜撰すぎる。どういうことだ?)

 彼の疑問に答えられる人物はその場にはいなかった。



 一方、そこから少し離れた位置には、公式には存在しない部隊がいた。彼らはある意味、管理局上層部の私兵のような存在で、その任務内容は主に管理局員の“間引き”であった。
 そして今回も指定された『脱出不能』の工場内にターゲットがいるため、外からの攻撃で彼らを消すようにと言う命令書をもらっていた。

「これで今回の仕事は一段落、か……世間は一大事だってのに、何をやってんのかねぇ〜、俺らは」

 ぼやく様なその言葉に、彼の横にいた上官は口を開いた。

「其の辺にしておけよ。消される側に立ちたくないのであればな」

「へいへい、分かってますよ。俺らに必要なのは感情なくて、上司に振
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