第五十二話〜開戦と黒幕〜
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それこそ次元世界単位の人間が犠牲になっていることも事実であるため、ライは彼らを断罪するために自分の中の引き金を引いた。
それはルルーシュとは違い、聴覚に働きかけるギアスを持つライだからできること。
「ライ・ズィ・ブリタニアが命ずる。貴様らは終わらない悪夢を見続けろ」
ライの命令に反応し、その目に赤き印が浮かび上がる。そして命じられて数秒後、3つの絶叫がその部屋を埋め尽くした。
ライは3つのシリンダーに近づき、備え付けのパネルを操作し始める。パネルに表示されたのは、『設定音量』という言葉とそれを表す数値。
「耳障りだ」
ボソリと呟き。ライはその数値を0にした。
もはや、恐怖と言う人間らしい感情を出力するしかできなくなった、3つのシリンダーには目もくれず、ライはその部屋を退室する。
そして次の目的地に向かおうとするのだが、ライの表情は沈んでいた。
(はやて……約束、守れなくてごめん)
内心で、ライは守りたいと想っている人達の内の、1人の少女に謝っていた。
ミッドチルダ・市街地
民間人の避難が終了し、戦場になったその場所で、機械の軍勢と魔導師との戦闘は続いていた。
しかし、ガジェットだけならまだしも、ナイトメアフレームと言う驚異には流石に対処しきれずに防戦一方になっている部隊が大半であった。
そしてそんな部隊の内の1つ。敵のガジェットとナイトメアフレームの混成部隊を引き付ける役目を、押し付けられた部隊があった。
その部隊は基本的に出世とは無縁、言うなれば管理局と言う組織の中でも掃き溜めと揶揄されるような部隊であった。だが、それはあくまで表向きの評価である。実際のところは、管理局の上層部にとっては扱い難い局員を集めて、いつでも切り捨てる事が出来るようにしている部隊であった。
そして逆に言えば、上から危険視されるほどの才能、若しくは実績を持った人員の集まりでもあった。
閑話休題
敵の一団を引き付けることに成功はしたものの、そこからどうすればいいのか思いつかなかった隊長は走りながら呟いた。
「俺、この作戦を無事に生き残ったら告白する」
「ちょっ!隊長、無意味に死亡フラグを立てないでください!」
いきなりの発言に隊長の隣を走っていた部下が声を上げる。
「ん?そうか、お前は俺に死んで欲しくないのか。俺は上司想いのいい部下を――」
「この場合、部下である自分たちも巻き込まれるんですから!死ぬなら部下を守るために特攻でもしてください!アンタは陸戦AAだろう!」
「よし!お前減俸一年な。あと後ろで頷いた奴らも」
軽口を叩き合っているが、状況は変わらない。その隊長は自分たちがどんな状況に置かれているのかを冷静に分析を続けよう
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