暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
A's編 その想いを力に変えて
44話:少し遅れたクリスマス会
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ていた。
そんなフェイトをよそに、俺はユーノの行く末を見届ける。はやてとアリサが殴るのを、なのはとすずかが止めに入っていた。

「……ねぇ、士」
「ん?どうかしたか?」
「なのはやはやてには話したんだけど…」

突然声をかけられ、フェイトを見ると、その顔はさっきと違って真剣な眼をしていた。

それからフェイトの口から話されたのは、俺が闇の書に吸収された後、自分も吸収されたという事と…そこであった“夢”のこと。

「あのとき、私はアリシアに会ったの。そこではアリシアだけじゃなく、母さんやリニスもいて…」
「………」
「母さんは、優しくて…リニスは、私の思い出のままで…アリシアは、かわいくて…」

そう語るフェイトの顔は、とても柔らかいものだった。

「はやてが言ってたんだ。闇の書が見せる夢は、その人の心の一番柔らかくて、もろい部分を捉えるって…」
「……だけど、お前はこの世界を選んだ。そうだろ?」
「うん……なのはやリンディさんやクロノ、そして士が……皆がいるこの世界に、帰ってきたいって思ったんだ」

一番柔らかくて、もろい部分。それはある意味、自分の心の奥底にある、自分が望む世界。たとえ本人にその自覚がなかったとしても…闇の書の夢は、それを捉え映し出す。
そんな世界からフェイトは、自分の世界に帰って来た。

「……お前は、ほんとに強い奴だな」
「え…?」
「今まで見られなかった優しい母親や、会った事のない可愛い姉がいる世界。普通そんな世界あったら、そこに残りたいと思うだろ。それでも、お前はここに戻って来た。だからお前は強い心の持ち主だ……俺はそう思うよ」
「そ、そう…かな…?」

俺の言葉を聞いたフェイトは、恥ずかしがりながら頬をポリポリとかく。

「…夢の中でね、アリシアと“さよなら”をしたの。それから、“ありがとう”と、“ごめんね”も…ちゃんと言えた。アリシアも、私を“妹”と呼んでくれて、“いってらっしゃい”って…言ってくれた」
「……ん…」
「だから、私はやっと…“アリシア・テスタロッサのミスコピー”じゃなくて、“フェイト・テスタロッサ”になれたんだ」
「…俺は最初っからそうだと言って来たつもりなんだけどな」
「あ、いや、士の言葉を疑ってた訳じゃないんだよ!」

そう言って手を振りながら慌てふためくフェイト。なんだ、そんな慌てて。

「…でもやっぱり、心の奥でどうしても引っかかってたんだ。私は、本当にどういう存在なのか。本当に、ここにいていいのか…とか」
「……そうか…」

そうだな、と俺はある決意をして、口を開く。

「まぁ…無理はするなよ。辛かったり悲しかったりしたら、遠慮なく俺達を頼れよ」
「……士…」

俺はそう言って、フェイトの頭にポンと手を置く。

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