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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
百十三話:灯台で眺める景色
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 そんな疑問を、口にしたところで。
 大丈夫だなんて、ヘンリーにだって言えるわけが無いのに。
 こんなことを言って、私はどうしようと言うんだろう。

「……ごめん。なんでもない」
「……絶対に大丈夫、とは言えないが。これまでの十年も、この先の当分の間も。あんな場所でも居心地良くできたのはお前のお蔭だし、その先をやってく力が付いたのも、お前のお蔭だ」
「……」

 そうかも、しれないけど。
 良かれと思ってやったことが、必ずしも良い結果を招くとは限らないのに。
 できることはやったつもりでも、まだ何か、本当はできたはずなのに気付かなかった何かが、あるかもしれないのに。
 私たちだけこんなところで、楽しく過ごしていて。
 現状であの人たちを助けられていないのに、それでも自分のしたことを誇るなんて、できない。

 望遠鏡から目を離して俯くと、ヘンリーに後ろから抱きすくめられます。

「……絶対じゃ、無いけど。大丈夫だ。リンガーたちが付いてる。みんなだって、お前がいなけりゃ何もできないわけじゃない。信じよう、みんなを」
「……ヘンリー」

 ……そうか。

 私は知ってるから、私はみんなよりも力があったから。
 私が、何とかしないとって、そればっかり思ってたけど。

 あそこにいる間だって、私ひとりの力で全部をやってきたわけじゃない。
 みんなに色々教えながらも、みんなに助けてもらって、助け合ってやってきた。

 少し未来の筋書きを、可能性を知ってるからって。
 一人で全部を背負えるだなんて、そんなの傲慢もいいところだった。
 前世の記憶があったって、血筋のお蔭で才能に恵まれてたって。
 私だって所詮、一人の人間なのに。

「……そうだね。みんなも結構、(したた)かだもんね。大丈夫だよね、きっと」
「ああ。大丈夫だ、きっと」
「うん。ありがとう、ヘンリー」

 背後から肩に回された腕に、手を添えます。

「私も、もう大丈夫だから。もう、行こう」
「……本当に?大丈夫か?」
「うん」

 ヘンリーが私を離したのを受けて、少し離れて見守っていたピエールが、はしゃぎ回っているスラリンとコドランに呼びかけてくれます。

「スラリン殿、コドラン。もう、戻るそうにござる」
「おっけー!おし、スラリン!また競争しようぜ!さっきはびみょーだったけど、今度こそ決着だ!」
「ピキー!」

 また、キャッキャと先に階段に向かって行くコドランとスラリン。

 ……ああ、可愛い。
 こんなにもスラリンと仲良くなるだなんて、コドランも連れてきて、本当に良かった……!

 と、またニヤける私に、ピエールが声をかけてきます。

「ドーラ様。拙者も、先に進んでおりますゆえ。ヘンリー殿、前方
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