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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
百十三話:灯台で眺める景色
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。おいらも強くなったし、いけるかと思ったんだけど」
「ピキー」
「……コドラン?スラリン?どうしたの?大丈夫?」
「うん、だいじょーぶ。この望遠鏡、ってヤツ?スラリンにも見せてやろうと思って、抱えて飛んでみたんだけどー。力よりも、バランスの問題っていうの?なんか、ダメだった」
「ピキー……」
「スラリン、いいヤツだな!おいらがやるっていったんだから、気にすんなよ!こっちこそ、ごめんな!」

 え、なにこの、小動物たちの友情。
 ……可愛すぎる!
 和む!!

 と、コドランとスラリンの可愛さに私が打ち震えている間にヘンリーがさっさと歩み寄り、スラリンを抱え上げて望遠鏡を覗かせます。

「お、ありがと、ヘンリー!な、スラリン、すげーだろ!?」
「ピキー!」

 無事にスラリンが望遠鏡を見られて、喜ぶコドランとスラリン。

 ……また、負けた。
 なんかもう張り合うのも馬鹿らしいほどに、ヘンリーが保護者すぎる。

 ……まあ、いいか。
 イケメンが小動物を保護している図というのも、これはこれでニヤニヤできるし。

 スラリンが満足した頃合いを見てヘンリーがスラリンを床に下ろし、コドランとスラリンが望遠鏡を通さずに直に見る景色を楽しみつつ、はしゃぎながら離れて行くのを見送って。

「ドーラ。見るか?」
「うーん。……ヘンリー、先に見て」
「わかった」

 この望遠鏡を通して見られるのは、例の神殿のはずなので。
 見ないで済ませたいわけでは無いけど、ノリノリで楽しめるものでも無い。
 同じ立場のヘンリーに先に見せるのも、どうかという話ではあるが。

 特に躊躇う素振りも無く望遠鏡を覗き込むヘンリーの隣に立ち、少し間を置いて問いかけます。

「……ヘンリー。……見える?」
「ああ。多分、これだな。……見るか?」
「……うん」

 ヘンリーに場所を譲られて、私も望遠鏡を覗き込むと。

 天高く(そび)えるセントベレスの山頂、覆われた雲の切れ間から、確かにそれらしいものが。
 建造途中ながら既に完成時の荘厳さを思わせる、神殿の姿が見えました。

 しばし無言で、食い入るようにそれを見詰めて。

「……本当に。あんな場所に、あるんだね」
「……そうだな」

 あんな高いところから、あんな樽で落ちてきて、よく生きてたものだ。
 ヨシュアさんの助けが無ければきっと逃げられなかったし、私たちでなければあんな手段では生き延びられなかっただろう。

 私たちだから、逃げられたけど。
 他の誰でも、逃げられなかったけど。

 それでも、あんな場所に、置いてきてしまった。
 私たちよりもずっと弱い、大切な人たちを。

「……みんな。……大丈夫、かな」
「……」


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