GGO編ーファントム・バレット編ー
59.激戦
[7/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ートに次弾を装填する。だが、スコープが破壊された今、もう遠距離射撃はできない。
「あとは任せたわよ、キリト」
疾駆する光剣使いの背中に、そう囁きかける。
キリトと死銃の距離は、もう二百メートルを切っている。たとえ光歪曲迷彩を発動させても、この地形では砂の上に後がくっきり残る。
サボテンの下から這い出たボロマントは、ゆらゆらと立ち上がった。右手にL115の残した長大なバレルをぶら下げたまま。
両者の距離は凄まじい勢いで減少していく。スコープなしでも、遠視スキルを持つ私には両者の姿がくっきり見える。
キリトが、走りながら右手の光剣を大きく肩の上に引き絞る。同時に左手を前にかざす。予選トーナメントで何度か見せた、強烈極まる突き技の構えだ。
対する死銃は、黒光りするバレルを左手に移す。次いで右手で銃口あたりを触れる。交錯まであと五秒。二人の後方には、中継カメラの光が一つずつ浮いている。
キリトが、砂漠を突き破らんばかりに踏み込む。
死銃が、両手でバレルを水平に掲げる。
この瞬間、自分の愚かさを実感することになった。大事なことを忘れている。闇風を倒し、死銃の銃を破壊しただけで私は満足していたのか、いや違う。私が愚かなだけだった。
キリトが疾駆するその五十メートル先にそいつはいた。そいつはずっとそこにいたのだ。一瞬。たった一瞬のチャンスのためにじっとそこにいたのだ。闇風がキリトを狙っている時も、私が死銃と撃ち合った時も、ずっとそこにいたのだ。暗殺者が。
そいつはキリトにアサルトライフル、正式名称《7.62mm アブトマット・カラシニコバ》通称《AK-47》の銃口を向けている。
今撃っても間に合わない。さらに撃ってる最中に撃ったところであの死銃は、洞窟に攻めてきた方だ。あそこまでアサルトライフルで的確にあてる相手がデタラメに撃つわけがない。
こんなことに気づけなかった悔しさに頬を大粒の滴が伝っていく。トリガーから手を離そうとする。すると不意に彼の言葉を思い出す。
『トリガーから手を離すなよ。シノンはシノンにできることをやれ』
(......そうだ)
まだキリトは、やられてはいない。
今の自分にできることは、キリトを信じることだ。遠視スキルで三人の位置をしっかりと確認し、トリガーにしっかりと指をかける。
そして私は信じる。彼のことを。彼が何をしているかはわからないが、私を助けてくれた彼が逃げるわけがない。だから彼を信じるだけ。
(お願いシュウ!!)
轟音。不意に戦場に鳴り響いた。その音の正体は考える前に視界に飛び込んできた。AK-47を持つ死銃の約八十メートル先にそれはいた。黒いコートをなびかせながら手には、《ファイブ・セブン》いや違う。あれは『砂漠の鷲』の異名を持つ大
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ