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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜
GGO編ーファントム・バレット編ー
59.激戦
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かさえ解らなかった。

視野の端を、白い光が右下から左上へと横切った。銃弾。無論へカートのものではない。砂漠の東側から死銃が発射した338ラプア弾だ。それをキリトが回避し、L115の長射程ゆえに、西側から接近する闇風の近くまで到達したのだ。

己に気づいていないはずのキリトの向こうから、突如巨大な弾丸が飛来すると身を屈めて、次いで近くの岩場へと方向転換しようとした。

その瞬間を逃さなかった。
半ばへカート自身の意思に従うかのように、指がトリガーを弾き始める。視界に薄緑色の《着弾予測円》が表示され、それは一瞬で極小のドットへと収縮する。ポイントは胸の中央。
優勝候補筆頭の忍者の胸に、ぱっと眩いライトエフェクトが弾けた。アバターは数メートル以上吹き飛ばされ、砂の上を転がり、仰向けになり止まり腹の上に浮き出た【DEAD】タグが回転を始め.....ようとした時には、へカートごと体の向きを百八十度変えた。

(キリト!!)

無音でその名を呼ぶ。
黒衣の剣士は、飛来する弾丸を、光剣の描く円弧が弾き飛ばす。もう一度。さらにもう一度。初弾を回避したキリトにはもう予測せんが見えている。

私はスコープの暗視モードを切ると同時に倍率を限界まで上げ、銃弾の発射位置を捉えた。

ーーいた。大きなサボテンの下。ボロボロの布地の下から突き出す特徴的なサプレッサーとバレルに後つけされたクリーニング・六度。L115A3《サイレント・アサシン》の使い手にして真の殺人者、《死銃》。

暗闇に、ちらちらと瞬く赤い眼が見える。

トリガーに触れ、わずかに絞る。
瞬間、死銃の頭がぴくりと動いた。弾道予測線を見たのだ。先の闇風への銃撃により、私の位置ももう露見しているだろう。だが、これで条件は対等だ。

さあーー勝負!!

死銃が、スコープの中でL115を動かし、銃口を向けた。その黒いあぎから伸びる、血色のラインが額をなでる。だが、気にせずトリガーを引いた。

轟音。同時に死銃のライフルも小さな火炎を迸らせる。スコープから顔を離し、自分の放った弾丸と、飛来する敵弾を肉眼で捉える。

弾同士が衝突する、と思うほど触れ合う感覚ですれ違うほどの感覚で軌道が少し逸れる。
甲高い音を衝撃音が耳のそばで響く。へカートに装着していた大型スコープが消し飛ばされる。スコープを覗いていれば即死だっただろう。
そして、へカートの放った50BMG弾は、こちらの狙いを逸らし、L115のレシーバーへと命中。

死銃の腕の中で小型も火球が輝き、L155の中心部がポリゴンの欠片となって吹き飛んだ。この瞬間、《サイレント・アサシン》は死んだのだ。

(.......ごめんね)

所有者にではなく、希少かつ高性能な銃のために頭の片隅で弔いの言葉を呟いた。へカ
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