13話 黒木 七実side
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今考えたら守る価値あったのか?
「おい! 京すべっ!?」
噛んだ、うんそれは認めよう、だけど理由を聞いてほしい。
京介の振り上げた足がそのままの勢いで戻されて踵が俺の弁慶の泣き所、つまりすねに直撃しやがったんだよ!
「ふっ」
痛がる暇もなく、すぐに京介の肘が俺の脇腹へと突き刺さる。
「ぐぇっ!」
口から無理矢理に空気が排出されるのと同時に体が京介から離れ、前のめりになった。
激痛で呼吸が整わない中、咄嗟に顔だけをあげるとそこにはちょうど身を捻って最上段からこっちに肘を振り下ろしている京介の姿が見えた。
あ、やばいこれ終わったわ。
今から避けようにも、そんな暇を与えることなく京介はこちらの後頭部を打ち抜くだろう。
ああ、見ず知らずの銀髪なんて助けるんじゃなかったな。
などと考えていたが、京介と目が合った瞬間、その動きが唐突にピタリと止まった。
「なんだ黒木か」
あっぶねぇ! 顔上げといてよかったあああ!!
寸止めされた肘を避けて体を起こす。
ああくそ、息がなかなか整わねえ。
「なにハアハアしてるんだ、変態か?」
「主にお前の蹴りと肘打ちのせいだバカヤロー!!」
何? 何なのこの人? 何でこんなに反省の色がないわけ!?
「俺の後ろには誰も立たせない」
「お前はゴルゴか!!」
「後ろから抱きつかれれば誰だって抵抗する」
「うぐっ」
確かにそれを言われると弱い、こいつは転生前から他人に触れられるのを極端に嫌がっていたからな。
「………まあ、確かにそれは俺が悪かったけど、つってもなんなんだよこの有様はいくらなんでも止めに入るっつーの」
「止めてくれるな、今からこいつらを二度と俺に近づく気が起きないように教育、もとい調教するとこなんだ」
「なんでわざわざ悪い方に言い直すんだよ!」
長いつきあいだが、いまだにふとした時こいつの考えが読めなくなる。
そこからは俺と京介の攻防戦だった、転生者達に追撃を加えようとする京介とそれを防ぐ俺。
「しょうがないな、今回はお前に免じて蹴り潰すのはやめる」
「ようやくわかってくれたか……」
長い攻防の末、勝利した俺は思わず安堵の溜め息を漏らした。
京介はその間に地面に落ちていたニット帽とコンビニのポリ袋を回収している。
そしてニット帽を深々と、それこそ顔が目元まで完璧に隠れるぐらいにかぶった。
タンクトップにチノパン、ニット帽に十字架のついたチョーカーか………お前どこのB-boyだよ。
きめ細やかな肌や細い線が逆に目立つから無意味じゃね?
「今から林道に差し入れを入れに行くんだけど、来る?」
そう言って
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