Mission
Last Mission アルケスティス
(5) マクスバード/リーゼ港 C
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ウスは微笑っていた。
そして、決然とユティを仰いだ。
「前にお前は俺に、弟のために自分を殺す覚悟はあるか、と聞いたな」
「ええ」
「上等だ。ユースティア、俺の命で『魂の橋』を架けろ」
ユティはスピアを回し、改めて構えた。
「その答えを待ってた」
倒れたままルドガーが叫んだ。
「待て、だめだ、やめろ! 殺すな! やめてくれ、ユティ! ――兄さん、兄さんっ!!」
恥も外聞も捨ててユリウスの命乞いをしている。こんな時なのに、頬が緩んでしまった。
それだけルドガーに、家族に愛されることができた。だからもう、充分だ。ルドガーに殺されるという贅沢は叶わなかったが、これでルドガーは死なない。そして生き残ったルドガーには、ルドガーを支える仲間が大勢いる。
「本当にいいのね」
「ああ。ひと思いにやってくれ」
「うん。ひと思いにやる」
ユティがショートスピアを片手で引き、溜めの姿勢を取った。この槍の刃がユリウスの心臓を貫けば、弟を救える。
「さようなら、とーさま、叔父貴」
うす暗い埠頭に鮮紅色が弾けた。
だがその色を首から噴水のように溢れさせたのはユリウスではない。ルドガーでもない。兄弟はただそれぞれの間にいた少女が取った行動に目を奪われていただけだ。
「ユースティ、ア?」
ユティはショートスピアで自らの首を貫いていた。
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