暁 〜小説投稿サイト〜
レンズ越しのセイレーン
Mission
Last Mission アルケスティス
(4) マクスバード/リーゼ港 B
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 ルドガーにも、ミラにも、
 ジュードにもレイアにもアルヴィンにも、
 ローエンにもエリーゼにも、
 ガイアスにもミュゼにも。

 皆がユティのせんとする処を理解した。

「だからね、とーさま、ワタシにずーっと言ってたの。今度は間違えないでくれって。ルドガーが命を絶つ前に自分を殺して、『橋』にしてくれって」

 ユティはルドガーの、銃を持った手を踏みつけた。昨日とは裏腹の、軽蔑もあらわなまなざし。

「今、その銃で自殺しようとしたね」
「くっ…!」
「話に聞いてたよりずっと我が強いアナタだったから、ひょっとしたらワタシの出番はないかなとも期待した。ルドガーが自分の意思でユリウスを殺してくれるのが、とーさまの一番の理想だった。でもルドガーの強さは、ユリウスへの劣等感に依るところが大きかった。だからミラやエルみたいな、別の人間に愛着持たせて、生きる意欲を持ってもらおうと思った。それをユリウスを殺す動機にしてもらおうとした。でも、元からないモノはごまかしきれなかった。保険にユリウスを殺してくれるヒト用意したけど、使えなかったし」

 痛みに喘ぐ間に、もう一丁の銃がホルスターから抜き取られる。
 銃だけではない。双剣もハンマーもユティは奪い去り、ルドガーの手の届かないところへ投げ捨てた。

「叔父貴はエル姉もとーさまも選べなくて自分を生贄にすることで逃げ出した。今のアナタと同じ方法、同じ場所で。歴史はくり返した。ワタシが手を加えても、ルドガーが自殺を選ぶ展開は変わらなかった」

 淡々とした武装解除が終わった。ユティはくるりとふり返ってユリウスに歩み寄っていく。

「だからワタシも、ユースティアが生まれた理由を果たす。とーさまの言いつけ通り、ルドガーを生かすために、今この場でこそ、きっちりユリウスを殺してあげる」

 少女はまるで知らない人の背中をして、兄にショートスピアを突きつけた。

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