あたしの決意
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
のいる物陰の方に向ける。
「・・・ど」
「ど?」
「・・・どういたし、まして」
もごもごと呟くと、凄まじい速さでショルダーバックのファスナーを閉め、帽子で顔を隠して早歩きで去っていった。
礼を言われる事に慣れていない為、その礼に返事をするのも慣れていないのだろう。
それか、「別に礼を言われるほどの事じゃないわ」とか何とか返す事が多そうだ。
「んんっ!うめぇっ!」
「良かったねナツ」
するとそこに、フラッと男が現れる。
「ナツ・・・グレイ・・・」
名前を呼ばれ振り返ると、そこにはいつものイケメンフェイスとは真逆とも言えるやつれた顔をしたロキが立っていた。
「こ、これ・・・ルーシィに渡しといてくれるかな」
「鍵?」
「ルーシィのだ」
ロキが差し出したのは、ルーシィが失くした星霊の鍵の束だった。
「お前、その顔!しばらく見ねぇと思ってたら、ずっとコレ探してたのか!?」
「いや・・・ははは・・・辛いね、フェミニストは」
「一言声かけてくれれば手伝ったのに」
「んが」
口いっぱいにおかずを頬張るナツに、ロキが口を開く。
「そ、それよりルーシィはどうしてる・・・かな?」
「家にいぶんがねもごべもむ」
「飲み込んでから喋ろうよ」
「多分家だ」
「そっか」
それを聞いたロキは安心したようにブルーカラーのレンズのサングラスを押し上げた。
「たまには遊びに行くか!」
「あいっ!」
「だな・・・ちょっと心配だしな」
「ロキ・・・お前ルーシィん家初めてだろ」
ナツにそう声を掛けられ、ロキは顔を背けた。
「いや・・・僕は行かないよ。知ってるだろ?星霊魔導士にはやな思い出が・・・」
「そっか。ルーシィはルーシィなのになぁ」
「・・・?」
ナツを追おうとしたグレイは、ロキのどこか悲しげな表情に首を傾げる。
すると、そこにトンカチ片手にエルザが走ってきた。
「貴様等!どこに行くつもりだ!働けェ!」
「!」
「逃げろーーー!」
「まぁてー!」
「うほぉー!」
「ハッピー、飛ぶぞっ!」
「あいさ!」
「オイ!ナツてめぇ、ズリィぞっ!」
そんなプチ逃走劇を、ロキは無言で見ていた。
「はぁ・・・グレイ様・・・」
ギルドからプチ逃走するグレイを、ジュビアはうっとりとしたような表情で眺める。
「へぇ・・・アンタ、あんな露出魔が好きなの?物好きね」
「だってグレイ様カッコイイし、ジュビアの雨を晴らしてくれたから・・・え?」
そこまで言い、ようやく違和感に気づいた。
明らかに自分の物ではない声が聞こえる。しかもかなり近くから。
ゆっくりと声のする方に顔を向ける、と。
「はじめまして」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ