あたしの決意
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・が、その念はグレイに届かず、弁当は完全にナツへと渡された。
それを見たジュビアはガックリと肩を落とす。
(ジュビア悲しい!早起きして作ったのに)
涙を流しながら項垂れるジュビアの胸に、もうてるてる坊主はない。
代わりににっこり笑顔のブローチがついていた。
「ん?」
そしてこんな状態でも隠れる事は忘れない。
ナツが弁当に手を伸ばしたその時、現在のナツにとっては悪魔、ジュビアにとっては救いの女神が現れた!
「待ちなさいバカナツ」
「いって!」
その伸ばされた手をティアがはたくように叩き、ナツから弁当箱を取り上げた。
「何すんだよティア!俺ァ腹減って死にそうだってのによォ!」
「アンタにこれを食べる権利はない」
取り上げた弁当を、ティアは真っ直ぐグレイに差し出す。
「アンタね、これはさっきの女が一生懸命、アンタを想って作った・・・かも知れないのよ。それを得体の知れないだなんて酷いんじゃないかしら?」
「うぐっ・・・」
ティアの指摘に言葉を詰まらせるグレイ。
「それとも何?アンタはそうやって平気で女の純粋な好意を踏みにじるのかしら?最低、たれ目、愚者、露出魔」
「何かいろいろ関係ねぇの混じってるだろ!?」
「で?どうするの?」
弁当を突き付け、微量の殺気を滲ませるティアに反論できるはずが無く。
いや・・・出来るとしたら空気を読まないルーか弟のクロスぐらいだろう。
「・・・わーったよ!食えばいいんだろ、食えば!」
遂に折れたグレイはティアから半ば引っ手繰るように弁当箱を受け取り、手掴みでおかずを口に運ぶ。
「感想は?」
「・・・うめぇ」
「はい、よろしい」
うんうんと納得したように頷くティアに、ナツが恨めし気に近づく。
「ティーアー・・・」
「何よ」
「俺腹減ってんだよ!これ食おうと思ってたのにどうしてくれんだコノヤロウ!このままじゃ腹減って死ぬだろーが!」
凄い勢いで捲くし立てるナツにティアは溜息をつくと、ショルダーバックから包みを散り出して突きつけた。
「はい」
「・・・何だコレ」
「弁当だけど」
黒地に白ドットの風呂敷の中に、1人で食べるには少し大きめの弁当箱が入っていた。
「やっぱり必要になったわね。アンタの事だからすぐお腹空くとは思っていたけど・・・言っておくけど私はミラじゃないから、ファイアパスタとかは作れないわよ」
そう言って腰に手を当て顔にかかる前髪を払うティアに、ナツは満面の笑みを向ける。
「ありがとな!ティア」
「っ!」
真正面から礼を言われる事に・・・そもそも、礼を言われる事に慣れていないのだろう。
ティアは少し動揺したように瞳を揺らし、顔をジュビア
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