あたしの決意
[4/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
」
そう言いながら包帯やら薬やらを取り出していく。
そのバックの中で血のように赤黒い色の鍵がきらりと煌めいた。
「・・・これで全部です」
「ポーリュシカに感謝すると言っといてくれぃ」
「はい、伝えておきます・・・ひっ!」
それまで人受けのよさそうな笑顔を浮かべていたメープルが、突然怯えた様に悲鳴を上げた。
顔を真っ青にしてガタガタと震え、少し距離を置き、隠れる。
その細い指が、1人の男を指さした。
「・・・俺?」
グレイ・フルバスター。
現在なぜか服を脱いでいる男を、メープルは指さす。
「服脱いでるからじゃない?」
「うおっ、いつの間に!」
「そ、そうじゃないんです・・・」
メープルは首を横に振り、尚もグレイを指さす。
「そ、その・・・それが・・・」
「それ?」
「きゃあああああっ!失礼しましたぁぁぁぁぁぁぁっ!」
首を傾げるグレイに首が千切れるんじゃないかというスピードで頭を下げると、メープルはハッピーも真っ青のスピードでギルドを後にした。
当然、あんな健気な少女を怯えさせたグレイは周りから様々な目で見られる。
「グレイ・・・」
「俺何もしてねぇよ!?」
まぁ、確かにメープルが勝手に怯えて勝手に逃げて行ったのだが。
とにかくまずはギルド再建だとメンバーは再び散っていく。
「ぐぇー、メープルシロップって聞いたら腹減ったー」
「ナツ君、関係なくお腹空いてるんじゃないの?」
空腹で倒れるナツに、サルディアが困ったような呆れた様な表情を浮かべて呟く。
「そういや俺も腹減ってきたな」
そんなナツを見たグレイがそう言い、ジュビアの目がキュピーンと光る。
「うおっ!?」
すると、グレイの前を素早い何かが通り過ぎ、グレイの手に1つの包みが持たされる。
その素早い何かはジュビアであり、目的を果たし終えたジュビアは先ほどの物陰へと隠れた。
「何だ今の」
「女の子?」
通り過ぎて行ったジュビアにナツとハッピーが首を傾げている間に、グレイは包みを開けていた。
そこにはピンクのハート模様がかかれたご飯に、色とりどりのおかず。
「てか、これ・・・弁当!?」
「おおお!よくわかんねぇけど美味そうじゃねーか」
栄養バランスも色合いも完璧と言える弁当。
が、これを渡してきたのが誰かグレイは気づかず、そうとなれば怪しむのも当然で。
「冗談じゃねぇ。こんな得体のしれねェモン食えるかよ」
それを物陰で聞いていたジュビアはガーンっとショックを受ける。
「んじゃ俺もらっていい?」
「いーよ」
グレイからナツに手渡される弁当を目で追いながら、ジュビアは目に涙を浮かべて首を振る。
「いただきまーす」
・・
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ