第一章
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「行くわよ。世界の人達に私の音楽を聴いてもらうわ」
「いいんじゃねえのか?」
俺はそのことに特に反対することはなかった。何処か実際の話に思っていなかったのも確かだがそれでも彼女の言うことに反対するつもりはなかった。
「それもよ」
「そう。応援してくれるのね」
「行くのはいいさ」
俺はまた言ってやった。
「それでもよ」
「何?」
「音楽はいいさ。金とかはどうするんだ?」
「今貯めてるわ」
もうそのことも考えているという答えだった。
「それもね。ちゃんとね」
「考えてるのかよ」
「そうよ。今からもうね」
また俺に言ってきた。
「だって。小さい頃からの私の夢だから」
「夢ねえ」
俺はその話を聞いて少しだけ笑った。
「いい言葉だよな。夢ってな」
「実現させてこその夢よ」
いつもこう言っていた。
「あんたにはそういう夢はないの?」
「俺の夢か?」
「そう、あんたの夢」
俺に顔を向けて尋ねてきた。
「それはないの?あんたには」
「あるって言ったらあるな」
俺もいつもこう答えた。
「それはな。あるぜ」
「じゃあ何なの?あんたの夢って」
「親父の店継ぐさ」
俺の家はバイク屋だ。バイクの他に自転車もやっている。こう言っちゃなんだが結構大きな店だ。俺はその店の長男で店を継ぐことになっている。
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