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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-5
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ているのは、クラスメイトである女子からの質問攻めであった。


      ◯


――バタンッ!


勢いよく開け放たれた扉が壁にぶつかり、けたたましい音を鳴らす。思わず耳を塞ぎそうになってしまうほどの音であったにも拘らず、扉を開け放った少年、御袰衣蓮は屋上に出て落下防止のために建てられているフェンスに背中を預ける。


そんな蓮の表情は芳しくないものだった。
先ほどの時間に好奇心から来るものなどの視線、鼓膜を破るかもしれないまでに大きくなった声。それらが蓮に過度のストレスを与えていた。苛立ちが募り、隣に座っていた女子生徒を殴っていたかもしれなかった。そこまで追い詰められていた。


何故、そこまで追い詰められたのか。
それには様々な理由があったりするのだが、一番の理由としてあげるならば、人生で体験するか分からないあの稀有な環境に耐えられなかったのだ。
気分を何とかして切換でもしなければ、もう耐えられなくなって誰かを殴るか、物に当たってしまおうか……それは八つ当たりである。でも、それぐらいやらないと、簡単に切り替えられそうになかった。


そんな追いつめられている蓮に正面から近づいてくる人影が一つ。


「――――蓮? どうしたの? 大丈夫?」


楯無だった。それも、いつもの飄々とした雰囲気ではなくて、純粋に心から蓮のことを心配しているような雰囲気を纏って。
話しかけてきたのが楯無だと分かると、一瞬強張らせた体を緩めた。


「……ああ、大丈夫だ」
「……そう、それならいいけど」


屋上へ来たのは気分転換のため。あんなに騒がれては、やはり厳しいものがあった。昨日は耐えられたのだから、いずれ慣れる筈だ。


そんな蓮の隣に楯無が蓮と同じようにフェンスに身を預けた。隣といっても肩と肩が触れ合うぐらいに近い。これは暗に二人の距離感も示していた。長く離れていた二人でも、心はいつまでも一緒だった。それも、お互いにお互いのことを忘れたことがないくらいに。
気分が落ち着いてきた蓮は、ふと思ったことを楯無に聞いた。それは――――


「なあ、楯無。簪は、元気にしてるか?」
「ええ、元気にしてるわ」


彼女の妹の更識簪のことである。
いつもと変わらないように答えた楯無。けれども、蓮は声のトーンが若干落ちたのを聞きのがさなかった。そしてこれは、いつもの経験則からすると。


「また、喧嘩したのか」
「……! ええ、そうよ……。あなたは、すぐに気づいちゃうのね」


楯無が目に見えて落ち込む。
せっかく気分転換して、そんな蓮を心配してくれた楯無が悲しそうしていると、こちらまで悲しくなってくる。だから、楯無を安心させてやらなければならない。そう思った蓮が取った行動は
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