第三章
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そうしたものを横目で歩きながら見ているとだ。
俺はこうだ。兄ちゃんに言った。
「ピストルなんてな」
「ピストルがどうしたんだい?」
「いや、ちっぽけなもんなんだな」
こう言うのだった。自分でも言葉がしみじみとしたものになっているのがわかる。
「本当にな」
「そうだよな。ピストルなんてな」
「ああ、ミサイルや大砲に比べたらな」
「ピストルであの船を沈められるかい?」
兄ちゃんは面白そうに右手のでかい、多分巡洋艦のそれを指差してきた。何か随分と突起があってレーダーやら何やらが見える。
やっぱり大砲があってミサイルランチャーもある。でかさなんてとんでもなくてだ。俺達が横を歩いても一分やそんなのじゃ横切れない。
その船を見てだ。俺は兄ちゃんに答えた。
「大砲かミサイルでもないと無理だろ」
「そうだろ。絶対に無理だろ」
「ピストルじゃとてもな」
笑い話だった。人間を針で刺す、そんなものにすらならない。
「どんだけ撃ってもな」
「だろ?巡洋艦でそれだぜ」
「じゃあ空母とか戦艦はか」
「ミサイルなり大砲を何発も撃ち込まないとな」
沈まない。そうだと言われた。
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