第二章 [ 神 鳴 ]
二十二話 会戦の狼煙
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くと無駄に警戒される為、わりと離れた場所に下りる。とりあえず向こうに警戒されない事が作戦の第一段階だ。陣に向かう前にやる事がある。それは、
「紫、これ以上ついて来ちゃだめだよ」
僕がそう言うと空間に少しだけスキマが開き、紫が目だけを覗かせる。
「…どうして?」
「間違っても向こうに紫の存在を知られる訳にはいかないから。…ごめんね」
今回の作戦には紫のスキマが必要不可欠。そして相手にスキマの存在を知られる訳にはいかないのだ。
それにしても仕方ないなんて言い訳して自分の娘を戦に利用しようなんて僕は最低だね。クズだね。自分自身を罵倒しながら紫の方に目を向ける。
「…分かった…」
紫は不満そうにそう言いスキマを閉じた。後できちんと謝らないとな。そんな事を考えながら大和の陣地に向かって歩を進めた。
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陣の入り口付近にはおそらく見張りだろう、二人の神が立っていた。そして近づいてきた僕に警戒の視線を向けながら声をかけてくる。
「止まれ!此処が何なのか分かっていないのか?」
「存じ上げております。大和の軍神『八坂 神奈子(やさか かなこ)』様率いる大和の軍の陣地と」
軍神 八坂神奈子。
大和の軍についてあちこち調べ回ったが何処に行ってもこの名前が出てきた。その神奈子の指揮が大和の軍を常勝無敗に導いている、なんて噂まである位だ。噂の真偽はどうあれ軍の最高指揮官であるのは間違いなかった。
これからそんな神と渡り合わなければならないと思うと気が重い。まぁ泣き言をいってもしょうがないか。
「それが分かっていて此処に何用か、人間?」
「私は諏訪の国より、諏訪の王洩矢諏訪子様のご伝言を預かった者にございます。畏れ多いのですが八坂神奈子様にご面会申し上げたく願います」
僕は慇懃な礼を取り頭を下げる。書状にしなかったのは神奈子に直接会うためだ。書状にすると門前で受け取られて終わり、という事にもなりかねない。
門番の神達も諏訪子の伝言役と聞いてどうするか逡巡している。そして何やら話し合い一人が陣の方に走っていった。
「今、八坂様に指示を仰ぎにいった。しばし待て」
そう言われ僕は頭を下げ少し離れた場所に移動した。さて、どうなるかな。
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暫くして話を通しに行った神が帰ってきた。
「使いの者よ、八坂様がお会いになるそうだ。案内するゆえ付いて参れ」
「はい、ありがとうございます」
よし、何とか面会には漕ぎ着けた。ここからだ。案内された場所はおそらく軍議などを行う為の広い部屋。
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