第七章
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あるのです」
「悪もですか」
「彼女はその悪の面を出して御母堂を殺したのです」
「そうだったのですね」
「そうです。そしてその悪が出た場合は裁かれるものです」
役はこのことも早苗に話した。
「ですからです。確かに悲しいですが」
「それでもですね」
「受け入れられ前を向いて下さい」
そうして生きるべきだというのだ。
「それで宜しいでしょうか」
「そうですね。私は生きています」
早苗自身はだというのだ。他ならぬ彼女はだ。
「それなら」
「そうです。今すぐには無理でしょうが」
役は静かにだ。早苗に話をしていく。
「少しずつでもです」
「わかりました」
早苗は小さく頷いてだ。そうしてだった。
彼女は薔薇を見続けていた。彼女の母が愛しその命を奪った紅の薔薇をだ。顔をあげて見続けていたのだった。そしてその彼女をだ。
本郷と役は静かに見守っていた。事件を解決させても自分達のことを置いておいてだ。彼女を気遣ってそうしていたのである。
美しい毒 完
2011・10・4
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