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渦巻く滄海 紅き空 【上】
六十一 兄と弟
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危機に対処するので精一杯。息が上がる。

「自分の愛刀に喰い殺されるなんて、冗談じゃないですよ!」
「ならてめえの死因は…――――」

頭上に降ってくる声。何時の間にか空高く跳躍した再不斬が物凄い勢いで墜ちてきた。全身を乗せた首切り包丁が鈍い光を放つ。

鬼鮫は印を結ぼうと構えた。その瞬間、足に鋭い痛みが奔る。
鮫肌が足に喰らいついていた。すぐさま振り払う。
そして今度こそ術を繰り出そうとする鬼鮫。だが、再不斬のほうが速かった。

「―――――俺が決めてやらあ!!」

迫る首切り包丁。避けようもない事実が鬼鮫の脳裏を素早く駆け巡った。白刃に、鬼鮫の驚く顔がはっきり映る。

刹那。




「み〜つけた」

激しい水飛沫が天を衝いた。

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