六十一 兄と弟
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言、噛み締めるように吼える。だがそれは、どこか自分自身に言い聞かせているような風情だった。激情に駆られ、食ってかかる弟を、イタチは痛ましげに眺める。
「あんたが言ったんだ!器を確かめる為の相手として俺を選ぶと!復讐者として俺を生かすんだと!!」
「……そうなるように仕向けたからな」
ぽつりと独り言のように呟かれた一言に、サスケはぴたりと身体を強張らせた。やがてギリギリと歯軋りする。
「仕向けた、だと…っ」
「俺への復讐を目的として与えた。そうすればお前は強くなる。俺を殺そうと躍起になる」
「そうだ!だから俺はこうして…」
「そうする事でお前を、うちは一族の仇を討った英雄にしたかった…」
「…ッ!?」
目を見張る。愕然とするサスケの前で、イタチは苦笑した。滅多に感情を露にしない兄が自らを嘲笑う様に、サスケは瞠目した。
「サスケ」
唐突に名を呼ばれ、サスケの肩がびくりと跳ねる。警戒と怯えを孕む瞳に、イタチは今一度苦笑を湛えた。そして、意を決したように口を開く。
「俺のことをずっと許さなくていい…。だが、サスケ。俺はお前と向き合って、同じ目線に立って話し合いたい」
そこでイタチはちらりと目線をサスケから外した。視線の先で頷いたナルトに頷き返す。
改めてサスケと顔を合わせると、弟は先ほどより幾分か落ち着いていた。
否、当惑しているといったほうがいい。話についてこれていないのだ。
それでもイタチはこの話し合いを設けてくれたナルトに感謝した。今を逃してはもう二度と、最愛の弟の誤解を解く事は叶わないだろう。
最初は寸前に述べた通り、悪人に徹するつもりだった。一族を殺し、里を抜け、極悪非道の数々を行った冷酷にして残虐な男を演じるはずだった。
弟を英雄にする為ならば、悪にだって何にだってなってやる心積もりであった。
「……憶えているか」
だがイタチは今回、真実を明らかにする事を選んだ。
たとえ己に与えられた任務内容の露見に繋がろうとも。
たとえ計算していた計画全てを台無しにする羽目になっても。
「あの約束を」
遠い昔。幼き弟と交わした約束を。
本当の意味で叶える為に。
「憶えて…?」
共に里を守るといった誓い。
幼き自分が兄に語った夢。
「兄さんと一緒に、俺も木ノ葉の里を守るんだ!!」
そう無邪気に豪語した、あの麗らかな昼下がり。
勿論サスケは憶えている。あの時の兄の笑顔が脳裏に焼き付いて離れなかったから。
だがそんな些細な事、イタチはとっくに忘れているものとばかり思っていた。
ただの夢物語だと流されたのだと考えていた。
だから、まさか憶えていようとは。
「……ッ、」
込み上げてくる何かを抑え込む。
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