一部【スサノオ】
二章【通達】
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数日後…
あの日から書類もとどかず連絡もなく、零司の頭からあの怪しげな募集の記憶は薄れてきていた。
無心で目の前の朝食を食べる零司。
その姿を脇目に母はため息をつき切り出す。
「で、なにか良い仕事はあったの?」
「別に…」
素っ気ない返事にまたため息をひとつ。
「こんな情勢だから、仕事だって選り好みしてられないのよ?なんだってやってみなくちゃ…そうでしょ?」
「…じゃぁ、あの仕事とかでも?」
テレビを指差すと、そのテレビに映るものを見て母の顔が強張る。
画面の向こうでは、ガスマスクを着け防護服を見にまとった人間が作業をしている姿。
それは最も忌み嫌われ、また最も尊敬される仕事。
『汚染区域調査』
後世歴に入る前…とある汚染物質が星を侵食し始めた。
ほんのわずかにも吸い込めば、肺を蝕みやがては内臓をも腐蝕させてしまうほどの猛毒。
その物質の侵食速度は緩やかでも、確実に人類の住みかをうばっていった。
現状での居住区画はもはや30%を切ってしまうほど。
汚染区画調査は、その物質を解析及び浄化するためのものだった。
しかし、62年たった今でも進展はなく、むしろ調査により命を落とす者が大半。
そして、零司の父もその犠牲者の一人。
「それは……それだけはダメよ」
体を震わせ顔を背ける母。
その瞳にはわずかに涙を浮かべていた。
「どのみち、もうどれだけもしないうちに皆死ぬんだ。残りの人生好きなように生きたっていいだろ」
「っ、それとこれとは…!」
母がテーブルを強く叩き怒鳴りかけると、調度インターホンの音がそれを遮る。
「なんなの、まったくっ」
勇み足で母が玄関へと歩いて行く。
「馬鹿らしい…」
そんな母の姿を冷めた言葉で一蹴し、再びテレビへと目をもどす。
こんな時代でも…いや、こんな時代だからか娯楽番組は不自由なかった。
画面のむこうで、バカみたいにはしゃぐ芸人たち。
頬杖をつき、虚ろな瞳で零司はその光景を眺める。
ほどなくして、母が封筒を片手に戻ってきた。
「これ、あなたにですって」
「なんだ…これ?」
目の前に置かれた封筒を乱雑に開けると、中からは一枚の赤い紙とIDカードが出てきた。
「零司…なんなの、コレ」
母が奇妙な赤い紙とカードに不安げな表情を浮かべる。
「…もしかして」
数日前のことが頭をよぎる。
『フロンティア』
「まさか…」
恐る恐る赤紙を広げる零司。
そこには…
『おめでとうございます。貴方はオンラインゲームフロンティアにユーザー登録されました。詳しくは同封させていただきましたIDカードをご持参し政府監理の移住計画管理局までお
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