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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第36話 「イゼルローンへ」
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、帝国を照らしている。
 老い先短い身とはいえ、未来は明るい。
 そう思えるのは幸せな事なのだろう。こどもらが羨ましいわ。
 のう、マルガレータ。

「おじいちゃんのお話は、長いからきらい」
「何ということを言うのじゃー」

 これだからガキはっ。
 わしもジークに会いたくなったぞ。
 
 ■ノイエ・サンスーシ フリードリヒ四世■

 ルードヴィヒがオーディンからイゼルローンへと向う。
 宇宙港には帝都の臣民が貴族平民を問わず、埋め尽くさんばかりに集まっておる。
 文字通り歓呼の声じゃのう。
 それほどルードヴィヒを見られるのが、嬉しいのか。
 そうか、そうなのか……。
 あれはわしの息子じゃ。羨ましいじゃろう。
 そう言いたい気分だ。
 父親として誇らしいわ。

 ■アレックス・キャゼルヌ■

 帝国の兵士達を乗せた輸送船に同乗している。
 兵士達は不安と期待を綯い交ぜにしたような表情を浮かべているが、それでも故郷に帰れるのは嬉しいのだろう。
 どことなく雰囲気が明るい。
 同盟の兵士達も同じような気分なのだろうか?

「先輩」

 一緒についてきたヤンが声を掛けてきた。
 校長がこの輸送船にヤンを乗せた。皇太子を見てこいとの事らしい。
 それに皇太子の指名もある。
 俺とヤン、そしてアッテンボロー。こいつらも連れて来い、そう言ったそうだ。
 ずいぶん校長は、政府の方から突き上げられたそうだが、皇太子がなにを目的で、俺たちを指名したのか分からない。

「いよいよですね」
「そうだな」

 目の前にイゼルローン要塞がある。
 これほど近くにまで近づいたのは初めてだ。恒星に照らされた流体金属の輝きが、眩しくさえ感じられる。

「ルードヴィヒ・フォン・ゴールデンバウム。あの皇太子に会えますね?」
「一応、会談の場を設けられるようになったそうだ」

 要塞の方に目を向けたまま話す。
 同盟帝国を問わず、戦艦の残骸が漂う空間。その中を進む。

「無視されるかと思っていましたが」

 それは俺も考えていた。
 政府の申し出だけだったら、無視していただろう。

「向こうには向こうの思惑があるんだろう」
「我々三人を、同席させる理由が分かりません」

 離間を狙ったものではないはずだ。そうするには俺たちの階級は低すぎる。
 政府も頭を捻っていたらしい。
 そしてフェザーンの自治領主であるシルヴァーベルヒ氏に問い合わせた。
 返ってきた返事は、

「後方補給の専門家である俺とエル・ファシルの英雄と、ジャーナリストのアッテンボロー氏の子息に、会ってみたいと言われたらしいぞ」
「そういえば、アッテンボローの父親が、皇太子の記事を書いたそうですが」
「ず
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