暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
King's Pride 王者の威厳
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己の本能、天性の才能でやっているのだ。
ヴォルティス卿は、言うまでもない。ただただ、巨大すぎる戦斧を力任せに振るうだけだ。それだけの動作で、大気が引き裂かれ、守護ガーディアンたちの身体がボロ布のように吹き飛ばされ、消し飛ばされる。世界のルールを、単純な力技だけで強引に捻じ曲げる。重力の法則など、頭ごなしに否定する。そんな、そこまでの力。
大気が震え、空間が歪み、世界にヒビが入る。
「卿よ、あの門は卿の
鋼糸
(
ワイヤー
)
の力をもってしても破れなかったのだな」
「え?う、うん」
《作業》の最中、偶然と言うように背中合わせになったヴォルティス卿からの問いというか確認に、レンはどもりながらも頷いた。ALOに初めて入った時、レンが急ぎ向かったのは当然のごとくこの場所だった。しかし、辿り着いて味わったのは、絶望と憎悪。
こぶしを叩きつけた巨門が開かなかったことに対しての怒り、苛立ち紛れに叩きつけた心意攻撃が赤子のように跳ね返されたことへの屈辱。
ある意味では、あの巨門はこの大勢の守護騎士達よりもなお、樹上の城へと続く道を護る仕事を果たしているのかもしれない。
「ふむ、ならば卿よ。我があの巨門までの道を一気に開けよう。卿はそこで、あの忌々しき門を正面から壊せ」
一瞬、目の前の筋肉ダルマが言っている事が分からなかった。
「はぁっ!?今言ったでしょ!あれは僕の力じゃ無理だって言ったのっ!」
「その思い込みこそ天敵なのだ。卿は、大切な者を助けたいのだろう?救いたいのだろう?ならば、それを阻むものなど、全てぶち壊すがいい」
唖然として固まるレンを放っておいて、ヴォルティスは戦う――――《作業》をするテオドラとユウキに向かって叫ぶ。
「ユウキ、テオドラ!卿らは、発生装置を壊し尽くせ!さすれば少しは、この鬱陶しい《虫》どもも静まるだろう!!」
「了解!」
「オッケー!!」
二つの、文字通り二つ返事を聞き、満足そうな顔でヴォルティスはそこで腕を振るった。近づこうとしていた騎士達が三桁単位で塵と化し、空しく
命の残り火
(
エンドフレイム
)
を散らして消えていく。
遠くでは、左右に仁王像のように陣取った
闇妖精
(
インプ
)
と
土妖精
(
ノーム
)
が高らかに技名をコールした。
「《
聖母十字
(
マザーズ・ロザリオ
)
》オオオォォォォッッッッッッ!!!!!!」
「《
巨神の咆哮
(
エル・ドレッド
)
》オオオォォォォッッッッッ!!!!!!」
世界の理を破壊する二つの閃光が轟き渡り、外壁が爆音とともに引き千切られ、塵と化していく。命の残り火が、まるで津波のように出現する。
おびただしいほどの光子をその背に受けながら、白銀の騎士はゆっくりと振り返った。その顔は逆光で全く見えないが、レンは分かった。そ
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