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第二十一話 誇り高き怒り
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く怒りをあらわにしている。
この姿に、シリカはおろか、キリトも眼を丸くし見ている。

「人を騙し、侮辱し、あまつさえ命を奪う。貴様は何とも思わなかったのか」
「セイバー?」

セイバーが前へと歩み出る。
殺気を押し殺しながら、ロザリアへと問いかける。

「何よ、マジんなっちゃって、馬鹿みたい。ここで人殺したって、ホントにその人が死ぬ証拠なんかないし。そんなんで、現実に戻った時罪になるわけないわよ。だいたい戻れるかどうかも判んないのにさ、正義とか法律とか、笑っちゃうわよね。アタシそういう奴が一番嫌い。この世界に妙な理屈持ち出す奴がね」
「だから下郎と言ったのだ」

ロザリアの眉が吊りあがる。

「私は自らの行いが正義だとは思ってもいなければ、法を振りかざす権利も無い。だが、この世界で死を迎えた者は現実でも死を迎える、それは事実。確かに現実において罪になる事は無いであろう。だが、それを盾に自らの行いに罪悪感を持たず、平気で人を踏みにじる。妙な理屈を持ちだしているのは貴様の方だ」

セイバーの言葉がロザリアへぶつけられる。

「セイバー、落ち着け」

キリトがセイバーの肩を掴み、怒りを抑えようとする。
声をかけられ冷静になったのか、セイバーは一度眼を閉じると、気分を落ち着かせた。

すると、今度はキリトが前へ出て口を開く。

「さて……本題に入ろう。あんた、十日前に三十八層で《シルバーフラグス》っていうギルドを襲ったな。リーダーだけが脱出した」

キリトの言葉に冷気が包み込んだ。

「リーダーだった男はな、毎日朝から晩まで、最前線のゲート広場で泣きながら仇討してくれる奴を探してたよ。でもその男は、依頼を引き受けた俺らに向かってあんたらを殺してくれとは言わなかった。黒鉄宮の牢獄に入れてくれと、そう言ったよ」

ロザリアはおもしろくなさそうな表情で聞いていたが、目を吊り上げると凶暴そうな光を帯びた。

「……で、アンタ達、その死に損ないの言うこと真に受けて、アタシらを探してたんだ。ヒマな人だねー。ま、アンタらの撒いた餌にまんまと釣られちゃったのは認めるけど……でもさぁ、たった二人でどうにかなるとでも思ってんの?」

ロザリアは唇に笑みを浮かべながら、右手を掲げて素早く二度宙を仰ぐ。
途端に向こう岸の両脇の木立が激しく揺れ、茂みの中から次々に人影が現れた。
シリカの視界に連続して複数のカーソルが表示される、そのほとんどは紛れも無いオレンジ色だ。
その数は──十。

「き、キリトさん、セイバーさん……数が多すぎます、脱出しないと……!」
「大丈夫ですよ、シリカ。キリトに任せておいてください。」

セイバーが、先程の怒りの表情とはかけ離れた優しげな声でシリカに諭す。

「で…でも」

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