第三章
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第三章
「それはな」
「ですよね。じゃああの榊さんが奥さんを」
「そうして後妻になり何なりな」
「まあ嫉妬ってのは普通に考えられますね」
本郷は自分のカレーを銀色のスプーンで口の中に入れながら話した。カレーは辛めだ。その辛さが食欲をさらに出させる。
「俺達の表の仕事の常ですし」
「裏でもそれが関わる場合もあるしな」
「はい、ですから」
だからだとだ。本郷は役に話した。
「それじゃあ怪しいのは」
「あの榊さんだな」
「旦那さんはこのことを知ってますかね」
ふとだ。本郷は宮里家の主であり早苗の父である彼のことに考えを及ばせた。
「あの人は」
「いや、どうやらだ」
「それはないですか」
「早苗さんの話を聞くとあの人もそうしたことをする人じゃない」
彼女の話をだ。役は信じて述べた。
「経営者としてはやり手だが悪人ではない」
「そんな人を殺す様なですね」
「そうした人じゃない。だからあの人は関係ない」
「じゃあ若し殺人なら」
どうなのか。本郷は今度はラーメンをすすりながら真剣な面持ちで話す。
「あれですね。榊さんの単独犯ですね」
「そうなるな」
「ですよね。それじゃあ」
「問題はどうして殺したかだ」
役は今度はこのことについて考えを巡らせていった。
「一応カルテも調べるか」
「術を使いますか?」
「いや、今回は表の仕事だ」
それならばだとだ。役は本郷のその問いには否定で返した。
「それは止めておこう」
「じゃああくまで頭と足で、ですか」
「解決しよう。それでだが」
「カルテを調べて偽造かどうか調べますか」
「遺体はもう焼かれた」
火葬に処された。そうした意味で証拠は消えていた。
「しかしそれでもだ」
「ええ。事件の解決はできますから」
「まずはカルテを調べよう」
役は自分のカレーを食べつつ述べた。
「そこからだ」
「わかりました。それじゃあ」
こう話してだった。二人はだ。
食べ終えてから店を出てだ。早苗の屋敷に戻った。その途中だ。
道から見える海と砂浜を見てだ。今度は海の話をはじめた。
海には波がありそこにサーファー達がいる。その彼等を見てだった。
本郷はだ。楽しげにこう役に言った。
「俺も事件が解決したら」
「波に乗りたいか」
「ええ、ちょっと」
実際にだ。そうしたいというのである。楽しげな顔で。
「そうしたいですね」
「そうか。事件が終わってからだな」
「流石に今はしませんよ」
仕事をしているだ。今はだというのだ。
「けれどそれでもです」
「終わればだな」
「はい、それからです」
「白浜は波が高い」
役はその波とそれに乗るサーファー達を見て話す。
「サーフィンには最適だな」
「そうですね。それでな
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