第二部 文化祭
Asuna's episode 出会い
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「解る。……って言うと、ちょっと偉そうかもしれないな。俺だって、たくさんの思い出が詰まった、ずっと一緒に過ごしてきた剣を簡単に捨てるなんて嫌だ。でもさ、剣の魂を一緒に連れていくことは可能だよ」
「剣……の、魂……?」
「そ。それまで使ってた剣をインゴットに戻して、新しい剣を鍛えるのに使うとかさ。それだったら、形は残らずとも、剣は……えっ」
和人が言葉を中断したのは、恐らく──いや間違いなく、明日奈が彼の肩に頭を預けたからだ。
「ア、アスナ?」
「……ありがと、キリト」
「えっ……」
和人の瞳を真っ直ぐに見つめ、言う。
「なんでもない。……わたし、友達に頼んでみる。この剣のインゴットで、新しい剣を作ってって」
和人はにっと笑った。
「傑作を所望しろよ」
「もちろんだよ」
明日奈もまた、にこっと笑みを浮かべた。
──2年後、明日奈は3年生になった。
「わあ……!」
クラス表を見た明日奈は、思わず歓声を上げた。和人の方へ駆け寄る。
「やったね、キリト君! わたしたち、同じクラスだよー」
「お、おう。アスナがそんなにはしゃぐなんて、珍しいな」
「えっ……こほん。べ、別に君と同じクラスだったからって、わたしには何の得もありませんけどね」
「……さいですか」
和人は唇を尖らせた。しばらく続いた沈黙を打ち破ったのは、和人の余計な言葉だった。
「……さっき、超嬉しそうに『やったね!』とか言ってたくせに」
「うるさいわね! い、意地悪言うキリト君は嫌いです」
「ほほう」
にやりと笑い、明日奈の顔を覗き込んでくる。
「な、なによ……」
「つまりさ、意地悪言わない俺は嫌いじゃないと?」
「バッ、バカ言わないでよ!!」
音高く和人の頬を叩いた。
━━この男のことは、やっぱり好きになれない!
明日奈は、ぷいっとそらした顔を綻ばせた。
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