真っ白な紙
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在の学校長が真実を追求するよりも、自己の保身を優先する人間だったこともあって、真実は闇に葬られた。
この後でウィリアムが違うと主張したところで、フォークの言葉通り、既に時は遅い。真実よりも、皆が信じる事実こそが伝えられ、そこにライナ・フェアラートの名前は一切出てこない。
「ま、君の考えはともかく助かった。ありがとう」
「疑ってごめんなさいの間違いではないのか」
フォークの言葉に、アレスは目を開き、そして微笑する。
否定のない様子に、フォークはつまらなそうに息を吐く。
「ま、銃など普通は手に入らんが、私でなくても手に入れられるものだな。もっともそれをしても確実にばれるし、見つかるだろうがね。くだらない、私であれば」
「もっと完璧にしてみせるか」
「あの小娘程度を陥れるのであればな。だが……」
そこでフォークは首を振って、アレスを見る。
「陥れるとしても、小娘に暴行を働いて、私に何の利点があるというのだ。ただ陥れるというだけであれば、そんな面倒なことをせずに」
呟きかけた言葉を、フォークは止めた。
視線の先には、アレス・マクワイルドがいる。
「恐い顔をするな、マクワイルド。あの小生意気な小娘程度ならばどうにでもなるが、それで君と敵対するつもりはいまはない」
「随分な言葉だな」
「貴様の除去が簡単な話なら、さっさと士官学校からお引き取りを願っている」
吐き捨てるように言えば、フォークはゆっくりと席を立つ。
そして、聞こえぬように唇を曲げた。
いまはな。
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