真っ白な紙
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蒼白になり、震える様子に、フォークはしばらく見ていたが、興味を失ったようだ。
「それでよく戦えると言えたものだ。ほら」
白い紙とペンが投げられる。
真白な紙が目の前におかれて、ウィリアムは何も出来ない。
違うと小さく呟いた声に、フォークはとんとんと机を叩いた。
「それとも親御さんに全てを話してみるか、ウィリアム。憂国騎士団の息子が軍法会議にかけられたなどと知れば、さぞかし肩身の狭い思いをされるだろうな」
「なぜ、それを」
「敵の弱点を把握するなど、基本だ。相変わらず時間を無駄にする男だな、ウィリアム。お前に出来る事はその紙に除隊届をかいて、さっさと一般人戻るか、軍法会議の場で争うかのどちらかだ。紙を見ていても、答えなどでない。選べ?」
覗き込むような言葉に、ウィリアムは震え、やがて、ペンを手にした。
+ + +
「入ってくれ」
フォークが呼べば、小会議室の扉が開いた。
入ってきたのは教頭であるサザール少将だ。
たった一人で入ってきて、ウィリアムの書いた除隊届を確認する。
満足げにフォークを見れば、フォークはつまらなそうに顎を動かした。
教頭に促されるように席を立たせられれば、ウィリアムは抵抗もせずに従った。
扉へと歩き出す、と、そこにアレスの姿を見つけて、一瞬憎悪の視線を向けるが、何か言う前に引きずられて、出ていった。
問題が大きくなる前に、片づけられた。
それは事前のフォークの根回しが大きいところであろう。
まさに人を陥れる事に関しては、右に出る者はいないと、アレスは思う。
そんなフォークは、それまでの表情から不愉快なものへと変えている。
「つまらぬことに巻き込まないで欲しいものだな、アレス・マクワイルド」
「問題を起こしたのは、君のチームメンバーだろう」
「不愉快ながらにな」
フォークは鼻を鳴らした。
ライナを送り届けた後で、アレスはすぐに行動を起こした。
まず既に就寝中であったフォークを叩き起こした。同じチームのメンバーが起こした行動は、他人事には出来ず、さらに言えばどんな指導をしていたと、フォークの責任にもなりかねない。
彼が深夜に抜けだして無駄な交友関係を深めていた時は、戦術シミュレート大会の期間中も含まれるからだ。
そこからフォークの行動は速かった。
教官や学校への根回しに、学外での人間の把握。
ウィリアムに全ての罪を押しつけるように、証拠や証言の手配。
わずか数時間後には、昨日の件は学生による暴行事件から、ただの学生と一般人の喧嘩へと問題を変えてしまっていた。
学校としても、学生が学外の人間とつるんで少女を暴行しようとしたという事実よりも、ただの喧嘩に終わる方が遥かに良い。ましてや現
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