真っ白な紙
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りません。先輩には関係のないことです」
ライナは視線をそらす。
どこか頬を赤らめて、口を噤む様子からは答えは聞けそうにない。
そこに――。
「い、いたっ」
アレスの振り下ろされた拳が、ライナの頭を直撃した。
鈍い、石を叩くような音に、ライナは頭を押さえて、短く悲鳴をあげる。
見上げれば、眉間にしわを寄せるアレスの姿があった。
「自分一人で何でも解決できると思うな」
「……しかし」
「確かに君は一人で多くの事が出来るだろう。だが、出来るからといって、頼るなというわけではない。今回も君が一人で来ずに、誰かに相談していれば、危険な目に合わなくてもすんだはずだ。結果オーライで良かったわけじゃないぞ、ライナ・フェアラート」
厳しい視線にライナは口を開こうとして、口を閉じた。
その通りだと理解して、頭を下げる。
自分が馬鹿だと言われれば、否定する言葉など浮かばない。
何とかなると思っていたのは自分であって、そこに予想外に銃が出てきたからと言いわけになるわけもない。
巡回責任者にアレスがなっていなければ。
どうなっていたか、想像を仕掛けて、ライナはアレスにかけてもらった制服の上から身体を抱きしめる。
小さく震えるライナの頭に、再びアレスの手が伸びた。
柔らかく、優しい掌が頭にあてられる。
見上げれば、髪をすくように、頭を撫でられた。
「君に比べれば頼りないかもしれないが、人を頼ることを覚えろ。君が助けた分だけ、みんな君を助けてくれる。少しは甘えろよ」
優しげな言葉に、ライナはアレスを見上げたままに固まった。
厳しいまなざしから心配そうな顔を見れば、ライナの視界はゆっくりと崩れた。
嗚咽。
止めようとして止められず、撫でられたままに、ライナは両手で目を覆った。
子供のように泣く事が恥ずかしくて、でも止まらなくて。
静かに泣く間、アレスの手をライナの頭を撫で続けていた。
+ + +
「そろそろ巡回に戻る。その制服はやるから、着替えて、今日はゆっくり休め」
最後に頭を軽く叩いて、アレスが踵を返した。
そのズボンが引っ張られ、疑問を浮かべて振り返れば、ライナの小さな手がズボンを掴んでいる。
「……ん?」
「腰が抜けてまだ立てそうにございません。だから……」
早速の言葉にアレスは微笑し、ライナの手を取った。
一瞬で引っ張り上げれば、肩をライナの身体に入れて、荷物を持つように軽々とライナを背中に担ぐ。
短く驚いた声が終わるころには、ライナはアレスの背中にいた。
一瞬だけ戸惑って、ライナはアレスの首に回した手に力を込めた。
草木を踏む音がする。
夜も遅いとはいえ、まだ消灯前の時間帯だ。
誰かに見られる可能
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