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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第一章
一話 彼等の現在状況
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イスを持っていない。そのため自動的に、今のような通信用の携帯端末を持つだけに留まっているのだ。

「何かご用事とか?」
コロナが聞く。10歳の少女が“ご”用事という言葉を使う辺り、やはり中々どうして彼女たちもお嬢様だ。

「あー、へいきへいき、早め帰ってくるとちょっと嬉しい事が有るかもよ。だって」
「そっか。じゃ、借りる本決めちゃお!」
「うんっ!」
リオがそう言うと、三人は元気よく立ちあがる。と、そんなヴィヴィオの携帯端末に、もう一通のメールが届いた。

「あ、お兄ちゃん……」
「え?ヴィヴィオのお兄さんから?」
「う、うん」
恐る恐る、と言った様子で、ヴィヴィオはメールを開く。そうして、少しだけ傷ついたような、悲しげな表情をした。

「ヴィヴィオ?」
「どうしたの……?お兄さん、なんて?」
「う、ううん!別に何でも無いよ!早く帰ってこい、だって!いこっ?」
「う、うん……」
丸で無理に笑うようなヴィヴィオの表情を見て二人は不安げに顔をゆがめたが、しかし手そのまま本棚の方へと向かって行くヴィヴィオを止めることは、二人とも出来なかった。

────

と、こんな感じである。
なんとも、上手くいっていない兄妹。と言うのが今の高町兄妹の現状だ。
しかして、どんなに上手くいっていなくても、高町ヴィヴィオが高町クラナの戸籍上における義妹である事には変わりはない。

誰が何と言おうと、彼等は兄妹なのだ。

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