第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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んてつ)!」
水を纏った手裏剣を容易く交わし、カイナが手裏剣とクナイを投擲する。じわじわと腐ったクナイが一本地面に突き刺さると、そこから浸食が広がっていった。幻術をかけられたのか、ぼうっと一点を見つめたまま動けないネジへと手裏剣が襲い掛かる。
「――っせんぱい!」
咄嗟に体当たり。元々覚束ない足取りだったネジは容易く宙を飛び、その拍子に幻術が解けたのか、はっと目を見開き、そして――
ぼちゃん、と盛大な音を立てて川の中に落ちた。
――かわいい子ですね、父上――
――ネジを預かるぞ――
――ネジ、お前は生きろ――
――彼は正に、日向始まって以来の天才――
――お前は誰よりも日向の才に愛された男――
――第三班、ロック・リー、テンテン、日向ネジ――
――夢は、体術だけでも立派になれることを証明すること――
――お前、忍術が使えない時点で忍者じゃないだろう――
――ネジはリーと違って、天才なんだから――
――天才がなんなんですか!――
――これは運命なんだ――
――何してんのよ早く逃げなさい!――
――リー! 大丈夫か、リー!――
――僕は一体何を……?――
――ネジ先輩! アタシにぼったくられてください!――
――八卦六十四掌!!――
――あ
走馬灯を見ている場合じゃなかった。そう思って目を開けた瞬間、水が目に入ってつうっと刺されたような痛みが走る。途端に呼吸困難に陥り、水面に顔を出したくとも流れが速い為に泳ぐこともままならない。水が冷たくて寒いやら体が熱で焼けるように熱いやら、気持ちの悪い感覚に吐きそうになる。
――もし宗家を潰せる日が来たら、とりあえずその次にはマナとはじめをぶちのめしてやる
川の中からなんとか脱出し、濡れ鼠になって咳きだけでなくくしゃみもしはじめながら、よろよろといまだ交戦中のはじめとカイナの元へよる。マダラの足元でケイが体を起こした。寒さに震えながら地面を蹴って飛び、柔拳を喰らわせる。それを受けて再び地面に転がるケイだが、彼はおもむろに立ち上がるなり、再び手招きをした。
ケイの姿がブれ、そして亡き父ヒザシの姿と重なる。
その顔の目があるべきところに、ネジと同じ白い目があるべきところに、ぽっかりと黒い空洞が二つ、開いていた。
「ッ――!」
また、ヒザシの姿がケイの姿へと戻った。虚ろな瞳でケイがこちらを見つめる。
桂男。月に住まう妖。
月とは元々、人の生死に密接に関係しているものだと聞く。そしてケイのような少年が手招くのを余りにも長い時間見ていると、月へと招かれてしまうことも。
だからケイの動作はいつも緩慢なのだ。月の時はここに比べてはるかに長い。反応も何もかも遅いけれど、相手に自分を長い間
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