第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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されているとは〉
聞いたことのない声に振り返る。見るとユヅルの左胸から、獣の形をした実体を持たぬものが吹き出ていた。
まさかあれが――あれが彼の呪いの力なのだろうか。
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「じゃー行かせてもらうよっ」
カイナの右腕が伸びる。標的ははじめだ。はじめは咄嗟に傍で咳き込むネジを引き寄せ盾にした。カイナの腕はネジの頬に触れ、ネジの咳きがさらに激しくなる。熱も出たのだろうか、触れている肌が熱い。
「おまっ、ごほっ、え、わざとげほっ、か!? げほっ、ごほっ」
「……は、反射で……」
駄目だ、眩暈がしてきた。ふらふらと覚束ない足取りで、とりあえず流れる川の水を汲み取って飲みたいという気持ちを押さえ込む。今川なんかに近づいたら百パーセントの確率で流されてしまう。
「……も、申し訳ない……水遁・水車輪!」
半ば誤魔化すかのように術を発動する。水を纏った手裏剣がしゅうしゅうとカイナとケイに向かってとんだ。ケイはただぼんやりと空を見上げている。
カイナがケイを抱え上げて手裏剣を交わした。ケイの虚ろな瞳は空を見つめたままだ。あいつは戦わないのかとも思ったが、逆に都合がいい。
「あ、一個教えてあげよーか? 白目っ子くん、キミの白眼は俺には通用しないよ。何故って、キミの手の纏ったチャクラが俺に触れただけでも、症状は悪化するもの」
ぴたりと伸ばした掌が止まる。何故俺にそんな情報を教えた? 罠か? それとも……?
「ま、信じなくたっていーけど?」
カイナの拳が飛ぶ。触れただけでも病気にかかる――これは体術使いのネジには不利だ。
ケイがネジに向き直って、妖しく笑う。虚ろな瞳にネジの姿は映らずとも、空っぽの視線とネジのまっさらな視線は確かにぶつかりあう。彼になら柔拳を使っても構わないはずだと判断して、構えを取る。と、ケイが手招きした。スローモーションでその手の動きが残像を残してぐらぐら上下に揺れ、ぐわんとネジの視界が歪む。幻術だと思った時にはもう遅かった。体が熱い。肺の中で雑音がこだまする。幻術返し。どうやるんだったっけ。頭が動きを止めて、何かを考えるのが億劫になる。
「水遁・水球!」
水の塊を二連射。手招きしていたケイに内一発がぶち当たり、ケイは悲鳴の一つすらあげずに、そそり立つ二つの像のうち、うちはマダラの像へと吹っ飛び、マダラの足に直撃した。ずるずるとそのまま地面に倒れこんでぴくりとも動かない。
「病遁・腐敗水!」
チャクラを練って出来た水は一瞬にして汚染され、ばちゃりと地面に飛び散るなりじわじわと地面を浸食し始める。病遁とは大した血継限界だ、とはじめは心中悪態をついた。
「水遁・水車輪!」
「おおっとそれが通用するとでも! 病遁・破銅爛鉄(はどうら
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