第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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生!」
「っくそ!」
ガイの攻撃を振り切って、蓮助が走ってきた。蓮助を追おうとするガイを、ミソラが相手する。ばっと掌をサンカに押し付ける。ぼん、と音がして煙りが立ち、サンカの姿が消えた。お前は帰ってサンカの傍にいろ、とついでにクゥにも掌をあてる。どうやらサンカとクゥは恋人か、もしくはそれに近い関係であるらしい。
「――っ木の葉旋風!」
呆然としていたカイに攻撃を放つ。しかし木の葉旋風を既に数回目撃していたカイはその手にははまらなかった。上段をしゃがんでかわし、そして素早く右手だけで逆立ちの状態になる。下段の蹴りが迫ったその瞬間に右手を離し、左手を地につける。そして間髪いれず、回し蹴り。
両腕でそれを受け止めながら、リーの足が僅かに地面を抉った。しかしそんなカイの背後に、はじめの助走をつけたドロップキックがクリーンヒットする。思い切り吹き飛ばされたカイはカイナに激突し、カイにカイナと同じく「カイ」も二文字を持つ者同士、仲良く地面に倒れこんだ。
「げほっ、がほっ!」
カイが咳きこみ始め、カイナは元々腕に刺さっていたクナイが更に食い込んだのだろうか、痛そうに顔をゆがめていた。その二人に向かって手を伸ばす蓮助に、ハッカが追撃をかける。
「巻き物はマナの腹の中だ。もう消化されているかもしれん。さっさと撤収しろ――この、“死んでいる”恋人を連れてな」
「……ハッカよ、彼女はまだ生きているぞ?」
ハッカに片足で捻じ伏せられているレミがもがくのを見ながらガイが言うが、違う、とハッカは静かに首を振る。
「術で縛った鬼火を死んだ人間の意識の容器とする、鬼の国における穢土転生モドキさ。ただこちらは死ぬ前の能力の半分しか再生できない。その上、記憶の再生も不可能だ。本人には死んでいるという意識すらない」
書物で読んだことがある、穢土転生という術を模倣したものだ。その威力は穢土転生ほどに強くはないが、穢土転生のように白目の部分が黒くなるということもなく、術を使っての蘇生であるということが露見しにくい。
「十数える内に撤収しないと、この女の術を解くぞ」
懐から取り出した札をちらつかせる。僅かの間躊躇ってから、蓮助はレミの方へと差し伸べた。
途端、レミが鬼火の塊となって分解し、するすると蓮助の掌へと向かっていく。そしてそれらは蓮助の掌に吸い込まれて消えた。
蓮助がケイとカイに触れると、二人も一陣の煙りとなって消えうせた。ミソラもまた、蓮助の掌で煙りとなって空を漂う。撤収しよう、と静かにいってから蓮助もまた撤収する。
あっけないほどに彼らは去っていった。最後の一抹の煙りが宙にとけて消えると、リーが膝から崩れ落ちた。
「ユヅルっ! テンテン先輩にネジ先輩!」
慌てて駆け寄った先で、意
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