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木ノ葉の里の大食い少女
第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
1−4
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れた器が与えられただけで、疫鬼はそのチャクラの器で人型をとっていたのだ。その内疫鬼と人が子を為した。人の血が交わった今、人に近い存在となったのは事実だが病気を感染させる能力は衰えてはいない。
 ならどうしてこの女は。

「ネタばらしをしようか。彼女達狐者異一族は言ってみれば貴様ら疫鬼――病田(やみだ)一族に近い存在さ」

 レミを片足で捻じ伏せながらハッカが静かに言う。病田というとっくに捨てた姓を口にされて、カイナは思わずうろたえた。病が病を得るわけはない。
 疫鬼は病によって死んだ人間の、「どうして自分が」という思いから生まれた怨霊。
 犬神は食べ物を目の前にして死んでしまった犬の無念から生まれた怨霊。
 そして狐者異は、貪欲な人間の霊にチャクラの器が与えられたものだ。疫鬼と同じように人との間に子を儲け、人に近い存在となった一族が狐者異だ。
 かつて狐者異は貪欲と恐怖の象徴だった。死して尚この世に留まり食物をあさる。その中には犬神や疫鬼の怨念はない、ただ貪欲であったと、それだけだ。しかしそれが却って人々を慄かせた。
 貪欲さの余りに。病に伏した人の怨念や、食べ物を目前に餓死した犬の無念などとは程遠い。

「病気にはかかるだろうが、ちょっとやそっとのことじゃかからない。貴様が彼女を病気にさせるには少なくとも両手で印を結んで強力な術をかけないことは無理だ。体当たり如きでは無理だよ」

 マナは純粋だ。
 食べることに純粋なのだ。狐者異となった人間は、概ねが戦乱の時代、食糧が少ない時に生まれ育っていた。だからこそたくさんの食べ物を求めたのだろう。故にこのような存在となって現れた。そして彼らが病にかからないのは、それが欲の塊だからだ。彼らの体は丈夫でなければいかなかったからだ。その欲を満たすために。
 人はいつしか、その名を恐怖の代名詞として使うようになった。狐者異(こわい)と。
 だから狐者異は――こわい。 

 +

「うるぁあああ!」

 飛んできた拳を間一髪交わすと、地面にぴしりと皹が入った。赤頭なら地面を軽くぶち割りそうだが、怪我している右手だからしょうがないだろう。――怪我している右手? 何故彼女は怪我した手で、
 それがフェイクだと気付くのに大した時間はいらない。距離をとろうとする間もなく、サンカは右手で地面を弾いて空に跳ね上がる。空中で体を捩り、左足で延髄蹴りを放った。地面に墜落しかけるリーだが、しかし彼も伊達に体術の訓練をしていたわけではない。右手で着地し、素早く木の葉旋風を放つ。空中にいたサンカは上段の蹴りにも見事はまってくれた。吹っ飛んだサンカは悔しそうに歯噛みしつつ印を結んで、髪を解く。
 途端にその髪が赤みを増してぎらぎらと輝く。

「……どこからでもかかってきてくださいっ!」
「い
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