第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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ようにチャクラのオーラが吹き出た。すっと半開きになった唇に唾液がてかり、ニヤリとマナが笑みを見せる。
「食遁奥義・唾液弾!」
「病遁・破銅爛鉄!」
咄嗟に反応したカイナのクナイや手裏剣に、マナの唾液弾――悪く言えば唾かけなわけだが――がかかる。どろどろとクナイや手裏剣が溶け出した。浸食されているのではない。“消化”されているのだ。マナの唾液弾も一部は腐敗させられてしまったが、しかしマナのこの新術が齎した衝撃は大きかった。
安堵したのか驚いたのか、はたまた犬神に体力を奪われたか、チャクラ網が歪んで消えた。どさっとユヅルが地面に崩れ落ちる。ミソラが不満げに唇を尖らして、印を結んだ。
「青行燈流・櫛刺し!」
ミソラの掌から現れた櫛が背後から笑尾喇を襲い、ぐっさりとその体に突き刺さる。しかし笑尾喇の動きは数分も衰えずなんの狂いもない。一体どういうことだと目を瞠っていると、ユヅルの呻きが聞えた。
「っぐはぁ」
振り返ればユヅルの両掌と口元が血でべっとりと濡れていた。痛みによる無色の涙と鮮血の赤が交じり合う。白い服の腹のあたりには花のように赤い染みが浮んでいる。最初からこうすればよかった、と呟いてカイが剣雷を笑尾喇に飛ばす。ユヅルが更に血を吐き、胸元にまた赤い染みが浮んだ。
「っユヅル!」
「くっそ、唾液弾!」
マナの唾液がミソラが更に飛ばした櫛をどろどろに溶かし、紅丸が渾身の力でカイに体当たりをする。戦うのはもう無理であろうというネジ、気絶したテンテンとユヅルはガイによって木陰で休まされていた。
「アタシの先輩やアタシの仲間を傷付けといてこんだけですまされると思うなよッ!」
マナの瞳が血走り、頬が怒りで朱に染まる。拳は関節が白くなるほど握り締められた。
笑尾喇を攻撃することで遠まわしにユヅルを攻撃するやり方は卑怯だと思った。時には卑怯な手を使わねばならないのが忍びであるとしても、受けたダメージをすべてユヅルのものへと変換できる笑尾喇に攻撃を浴びさせてユヅルを傷付けるのはひどいと思った。
いやもしかしたらこれは卑怯でもなんでもないのかもしれない。ひどくないのかもしれない、ただ笑尾喇を攻撃したのが結果的にユヅルを傷付けた、それだけなのだ。カイの剣雷は明らかに故意のものだが敵の隙を突かないでどうする。
それでも、仲間が傷付けられたのは事実だ。ネジに激しく咳き込ませたのもユヅルが血を吐いたのも、テンテンが頭を打って気絶したのも、事実だ。敵同士だからといって片付けられるほどにマナは大人ではないし、敵同士であるとしても信じあった味方が傷付けられて憤らない人はいないはずだ――とても冷酷な人ではない限り。
そして敵同士だからといって彼らが仲間を傷付けたことを許すことは出来なかった。
理不
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