第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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を上げるレミを追ってハッカも飛び降りる。一瞬レミの姿が消えたような気がした。
「水凶刃の術!」
はじめがよく使う水遁・水車輪に似た術だ。水車輪が手裏剣であるのに対し、こちらはクナイや刀などに用いられる。
左腕を刀で押さえつけた。このレミとか言う女、妙に弱い。弱いというか――なんというのだろう。誰かのコントロールを受けている……?
しかし傀儡というわけでもない。なら、彼女は――
「火遁・鳳仙火の術!」
びゅびゅびゅ、とレミの口から吐かれた火の玉が飛んでくる。水凶刃がいくつか相殺され、また残りのいくつかがハッカの服を焦がす。
彼女は妖隠れ(あやかしがくれ)の生まれだと言っていた。恐らく蓮助もそうなのだろう、とハッカは判断をつける。髪色が似ているから、同じ一族だったりするのかもしれない。
妖隠れにはたくさんの妖がいたと聞く。口寄せで有名な里だ。二代目鬼影が手下に殺された後に滅ぼされ、今では土の国に属している。
「考え事をしている暇はありませんよっ! 火遁・絵筆菊!」
ぼっとレミの右手が燃え上がる。燃え上がった手刀を振り下ろしてくるレミ。右に飛んで裂けると、初代火影の足元に亀裂が走る。どうか初代さまの像が傷つきませんようにと心中祈りつつ、ハッカは出来るだけ初代火影の像から離れ、水際によった。水遁が得意であるハッカには水辺にいるほうが有利だ。
「水遁・水波刀!」
チャクラを水練りこみ、水の刀へと変換させる。ハッカがつくったオリジナルの術だ。まだ実際の戦闘に用いたことはないが、やってみよう。
「たあっ!」
レミの手刀が降ってきた。水の刀を一閃させる。あ、とでも言うようにレミの目が見開かれるのと同時に、レミの右手と手首が分離した。
「――な」
こんなに威力が高い技だったのかと驚く暇もなく、切り落とされたレミの右手が宙に浮く。血は一切流れていない。それどころかこれを形成しているのは肉ではなく、
右手と右手首が抱きつくように接着する。傷痕のかけらもなくそれは再生された。にっこりとレミが笑う。
「蓮助さんによるとこれは私たちの一族の血継限界だそうなんです」
鬼火で形成された体がか。
何故「蓮助さんによると」とか、「血継限界だそう」という表現をとったのだろう。二人とも同じ一族のはずならレミが自分の血継限界に知らないはずはない。何故レミは知らなかった?
後ろで何かの声が聞えた。そして微かではあるが何かのまがまがしい気配も。
「――貴方達のところに私たちの仲間がいるとは驚きです」
レミの声に振り返る。
白い長髪の少年が立っていた。両手の先からはチャクラ網が迸り、傷をいくつか受けている。見開かれた赤い目が燃え、その左胸から何かが吹き出ている。
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