第一部
第一章 純粋すぎるのもまた罪。
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息絶えている。その傍で椅子に縛り付けられ、涙の筋を頬に浮かべながら気絶している少年がいた。――若き日のハッカだ。呆然と立ちすくむガイが背負うのは、だらだら血を流して失神しているチームメイトの少女、ユナトだ。
――痛いから触んないで! お願い、触んないで!――
また場面が切り替わる。大きな傷痕をつけた右腕を庇いながらユナトが泣いている。傷口から病が伝染したとその医療忍者は言った。ユナトの右腕を、切り落とさなければならないと。
そしてそこに移植されたのは。御座敷童子の右腕だった。
――先生の手――
また場面が切り替わって、ユナトは椅子に座っていた。左手でハッカの黒い髪を撫でている。ハッカはユナトの右腕を掻き抱き、撫ぜ、じっと熱っぽい視線をユナトの右腕に、御座敷童子のだった右腕に注ぐ。
――ハッカ――
――僕は目の前にいたんだ。いたのに、先生が拷問されてるの見てることしか出来なかった。先生、すっごい苦しそうだった。すっごい痛そうだった。なのに僕何も出来なかったんだ――
ハッカがユナトの右腕を抱きしめなくなるまで、半年くらいした。
いや、もしかしたらもっと長くかかったのかもしれない。何故なら半年後に、ユナトはハッカの記憶を消してしまったのだから。
御座敷童子の右腕で、ハッカに術をかけて。その記憶を消したのだ。
だから今は、ガイたちの当時の担当上忍は男性だったということになっている。そして任務で殉職したと、そう記憶を書き換えた。日焼けしたユナトの左腕と、真っ白い童子の右腕のコントラストが鮮明だったのを憶えている。
「狂ったまでに愛していたようだな、御座敷童子のことを。あいつの名前はシソ・ハッカだったか? 知っているか、彼女もも妖隠れの里の生まれなんだ」
座敷わらしなんだよ。と蓮助は笑う。
ああ、だから童顔だったのか。赤い羽織の彼女を思い出し、ガイは目を閉じる。そして目を見開くのと同時に、蓮助に思いきり殴りかかった。
+
「――初代火影千手柱間……私も聞いたことはありますわ。私は鬼の国妖隠れの里の生まれなのですけれど、木の葉にはずっと憧れておりました」
長い髪を垂らした初代火影の像の上で、レミとハッカは対峙していた。
「水遁・水牙弾!」
「火遁・豪火球の術!」
圧縮回転がかけられた水の塊が一斉にレミを襲う。豪火球の術でいくつかを蒸発させるレミだが、しかし内いくつかに撃たれてしまうのを避け切れなかった。水牙弾は殺傷力が高い。衣服がざっくりと裂け、ぼたぼたと柱間の左肩に血が滴る。レミの傷口が一瞬ぶれる。
「水遁・水龍弾の術!」
大量の水が持ち上がり、龍を象ってレミを柱間の肩から叩き落し、地面にぶつける。ばしゃばしゃとふりかかる水は傷口にはかなり痛いはずで、呻き声
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